取材・文/相馬佳(ホノルル在住)
ハワイ特有の楽器、ウクレレ。19世紀にポルトガル移民が持ち込んだ民族楽器が由来だと伝えられますが、ハワイに持ち込まれた後は独自の歴史をたどって今の形に発展し、今ではハワイアン・ミュージックに欠かせない楽器となりました。
ハワイにはウクレレを製造する有名な企業が数社あります。「企業」といえどそのほとんどがファミリービジネス(家族経営)。その中で現在世界第3位のウクレレ生産・販売量を誇るのが「コアロハ・ウクレレ(KoALOHA Ukulele)」です。「コアロハ」とは、ハワイ語で「あなたの愛」という意味だそうです。
ハワイではなく「世界」第3位というのにはれっきとした理由があります。今やウクレレ、そしてハワイアン・ミュージックは、日本や米本土はもちろんヨーロッパなど地球のあらゆる場所で大人気。ウクレレは世界のさまざまな国で需要があるのです。
ホノルルにあるコアロハ・ウクレレの新社屋兼工場は、アラモアナ・センター向かい(ピイコイ・ストリート側)の便利なロケーションにあります。旧社屋はカリヒにあったそうですが、賃貸契約終了時に絶好のタイミングでアラモアナに移ったそうです。(ちなみにコアロハ・ウクレレの隣にはハワイアンバンド「マノアDNA(Manoa DNA)」のファミリーが経営するハワイアンウェアブランド「イオラニ(Iolani)」もあります)
さて、コアロハ・ウクレレの建物に入ると、まずはショップスペースがあります。ここでは工場直売のウクレレやTシャツなどロゴアイテムなどが購入可能なほか、壁に展示されたコアロハの歴代ウクレレを見ることができます。
ウクレレはカスタムで製造して日本まで送ってもらうことも出来ますが、こちらは時間がかかるそうなのでスタッフにご相談ください。
コアロハ・ウクレレでは、月曜から金曜まで、毎日午後1時から無料のツアーを開催しており、時間までに訪問すれば予約なしで参加することが可能です。ツアーでは工場の中に入り、ウクレレ制作に関する説明を聞きながら実際の制作行程を見学することが出来ます。所要時間はおよそ20分程度です。
また、自分だけのウクレレを作ることができる「スペシャルファクトリーツアー」もあり、こちらは要予約。参加費用はウクレレも合わせて$350。所要時間はおよそ1.5時間~2時間程度となります。
各製造行程は別の従業員が担当しており、いずれの行程も高度な技術を要します。ちなみにここで働いている従業員の中には現役のプロミュージシャンもおり、社長のアルヴィン・オカミさん(パパさん)自身もミュージシャン。皆ハワイアン・ミュージックとウクレレに情熱とプライドを持って働いています。
こちらは仕上がりに近くなったウクレレ。こうして1つ1つ手作業で丁寧に仕上げるため、大量生産するわけにもいかないそうでが、そこが高品質といわれる所以ですね。
この日は社長夫人のパトリシア・オカミさん(ママさん)も仕上げ行程のお手伝いをされていました。オカミご夫妻曰く「手が足りなくなると私たちも制作に参加しますよ」とのこと。そんな和気あいあいとした家族のような雰囲気を持つ会社です。
ツアーに参加すると、ウクレレがこうして愛情をこめて作られていることが分かります。
ウクレレにはソプラノ、コンサート、テナーの3サイズがあります。この中で一番小さく、低価格なのがソプラノ。ということでつい初めての人はソプラノに手が伸びてしまいそうになりますが、コアロハ・ウクレレ副社長のブライアンさんによると「サイズが小さいから初心者に弾きやすいというわけではない」そうです。
「サイズが合わないウクレレだと結局弾かなくなってしまうこともあるので、自分合ったサイズを選ぶことから始めるといいですよ」とのこと。ウクレレを弾き始めたばかりという方であれば、まずお店のスタッフに相談しましょう。
またウクレレ上達の秘訣は、1人で黙々とするよりも、同じウクレレ愛好家の仲間を増やすことだとか。スクールに通ったり、愛好家のクラブに所属したりする「ウク友」がいることで上達も早くなり、ウクレレを弾くことがどんどん楽しくなっていくはず、だそうです。
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以上、今回はホノルルにあるウクレレメーカー、コアロハ・ウクレレの工場見学ツアーをご紹介しました。ツアーはウクレレを購入しなくても参加することができますので、まずは見学したいという方、ハワイ文化や音楽に興味のある方は、今度ホノルルにいらしたら、ぜひ足を運んでみてくださいね!
【KoALOHA Ukulele】
1234 Kona St., 2FL, Honolulu, HI 96814
(808)847-4911
月~金曜 8:00~17:00
土、日、連邦祝祭日休
koaloha.com
取材・文/相馬佳
新潟市出身、米国ハワイ州在住。ハワイ大学卒業後に現地でライター・編集職に就く。現在は国際通信社に勤務するほかハワイや日本のメディア等で活動中。