《8日目》津軽二股駅~奥津軽いまべつ駅

新幹線の乗換駅となる津軽二股駅。一段高いところに白い塀の新幹線が見える。

時間に余裕があるのだから、さきほどの列車にそのまま乗車して終点の蟹田まで足を伸ばすこともできたのに、ついふらふらと下車してしまった。旅行も8日目で、そろそろ疲れが出てきたのかもしれない。

駅前には道の駅「アスクル」がある(正式名称は“道の駅今別半島ぷらざ「アスクル」”)。北海道新幹線の「奥津軽いまべつ」と津軽線の「津軽二股」と隣接しているが、ここはあくまで「道の駅」。つまりここには、3つの「駅」が同じ所に集まっているコトになる。

ここでアスクルの名物、「あらま味噌ラーメン」を食べてみる。

「あらま」はこの町で行われる「あらま(荒馬)まつり」から名付けられたもの。ねぶたなどとほぼ同じ8月上旬に開催される祭りで、馬と名前は付くが馬は登場せず、扇ねぶたの山車とともに馬に扮した人が踊る、なかなか激しい祭りらしい。

あらまラーメンも、名前に負けず、麺もネギもたっぷりしっかりのなかなか激しいラーメンで、一杯1000円。ただしここでも馬の姿はなく、麺の上で存在感を示している肉は、馬肉ではなく「いまべつ牛」なのである。

食堂の中に掲げられた新幹線の発車時刻表。台紙はもちろん新幹線型。

アスクルはなかなか人気の施設らしい。地元のテレビ局もよく訪れて中継をするほか、こんな「有名人」のサインまであった。

津軽線は青函トンネル建設を支えた鉄道だ。かつては工事用の人たちが住む「町」もあったのだが、現在は姿を消し、完成した現在ではほぼ用済み状態。同じ所に位置しながら別々の路線の別々の駅になっているのは、在来線の方をいつでも廃止にできる準備なのだろう。乗り換えの不便さにそのことを改めて感じさせられた。

普通列車しか乗車できない「青春18きっぷ」だが、特急しか走っていない区間では、条件が合えば料金を払って乗車することができる。

青函トンネル区間では「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を購入すると、奥津軽いまべつから五稜郭の北海道新幹線+道南いさりび鉄道区間も利用することができる。料金は2300円で、青春18きっぷのほぼ一日分の値段だ。一概に比較はできないが、同じ区間を普通運賃で購入すると3900円なので、割安と言えなくもない。

このきっぷを利用できるのは、奥津軽いまべつ駅と木古内駅の両方に停車する列車のみ。そんな列車は一日数本しかないから、なかなか厳しい条件だ。

当初の計画で乗車を予定していたのは13:47分発のはやぶさ。でも昨日の計画変更で一本遅い列車になる。発車は17:01。結局約3時間のインターバルを津軽半島の途中駅で過ごしたことになる。

いまいる場所は青森県だが、鉄道のほうはJR北海道の管轄。もうここは「北海道」なのだ。東京方から北海道行きの新幹線「はやぶさ」が入線してきた。

いよいよ、北海道上陸である。全車指定の「はやぶさ」だが、オプション券で乗車するときは立ち席特急券同様、座席の指定は無く、空いている席に座ることができる。

新幹線でこのトンネルを抜けるのは初めて。かつて下車することもできたトンネルの中の駅はすでに廃止されているが、緊急用の施設として今も活かされている。

流れる光の速度は在来線の時代と変わらない。トンネルを走る新幹線の最高時速140km/hなので殆ど代わりのない光景が流れる。

木古内まで37分。ほとんどトンネルの景色を抜けて北海道に上陸した。

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