日本列島が桜色に包まれる季節がやってきました。
桜の追っかけをライフワークとしている女性トラベルライター「旅恋」の関屋がおすすめする、今すぐ出かけたい絶景桜名所の2回目です。
天下の桜名所といえば奈良県の吉野山。山々には神が宿るとされ、吉野山は山岳信仰と結びつき、ご神木として寄進されたヤマザクラが何年にもわたり植栽されました。そして現在、約200種類、約3万本の桜が花霞となります。明治以降、花見の主役は染井吉野になってしまいましたが、もともとは桜といえばヤマザクラだったのです。その花姿は清楚で控えめで上品。吉野山の桜は西行法師をはじめ多くの文人墨客に賛美され、さまざまな歴史の場面を彩りました。
吉野山のお花見のいいところは、期間が長いということです。4月初め、山裾から順に山頂へ開花していきます。近鉄吉野駅周辺の下千本。七曲りと呼ばれる一帯が見事で、室町時代に大阪の豪商が1万本の桜を寄進したという記録が残っているそうです。如意輪寺などがある中千本。ちょうど中千本が満開の時期に出かけた時、桜の咲く谷間に立つと、桜吹雪が下から舞い上がりました。それは何とも幻想的な体験でした。上千本には布引桜と呼ばれる桜並木があり、紅色の布を敷き詰めたように咲き誇ります。そして山の最奥にあたる奥千本。西行の庵とともに神仙な気配が漂います。