列車のライトに満開の桜が浮き上がる夕刻のホーム。特にイベントが開催されることもなく、時が静かに過ぎていくローカル駅だ。写真/マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ

渓谷のローカル駅を彩る桜のトンネル
三浦駅|岡山県・JR因美線 

春、まるでそこだけピンクの綿菓子をかぶせたような駅が現れる。片面だけのホームは狭く、ブロック造りの待合室があるだけの小駅だが、線路の両側に植えられた桜が停車する気動車を丸ごと包む。

JR 因美(いんび)線の東津山駅〜智頭(ちず)駅間は、1日7往復のみのローカル区間だ。ここを走る列車が津山盆地から加茂川の渓谷に入ったところに三浦駅がある。

駅開設の喜びが桜花に宿る

春爛漫の頃の三浦駅。津山行きのワンマン列車が三浦駅に到着。トンネルのごとく咲く見事な三浦駅の桜だが、訪れる人は少ない。写真/白井崇裕

駅開設の喜びが桜花に宿る

駅舎すらないこの駅の桜は、昭和38年(1963)に駅が開設されたとき、地域の人たちが植えたソメイヨシノだという。それから半世紀を経て、見事な桜のトンネルができ上がった。駅の入口には、因美線がこの地を走った昭和3年(1928)から続けた駅設置の請願運動が実ったことを祝して「一致団結大願成就」と刻まれた石碑も建立されている。まさに地域の駅に対する思いが満開の桜になっているのだ。ちなみに鎌倉時代、相模国を本拠とした三浦一族の末裔が美作(みまさか)三浦氏となり、この地に三浦八幡神社を置いたことが駅名の由来という。

因美線内で唯一の請願駅。全国でもありがちな「三浦」駅だが、命名されたのはこの駅が最初だった。駅を包むソメイヨシノが見事。写真/白井崇裕

傾斜地にあって民家が隣接しているため、比較的狭いところに桜が植えられている。三浦駅は津山駅からJR因美線で約20分。

案内人
杉崎行恭(すぎざきゆきやす)さん
(駅旅ライター・69歳)

昭和29年、兵庫県生まれ。写真家、フリーライター。旅行雑誌を中心に活躍。鉄道全般に造詣が深く、駅と駅舎の専門家としても知られる。著書に『百駅停車』(新潮社)、『あの駅の姿には、わけがある』(交通新聞社)など多数。
※杉崎のさきはただしくは「たつさき」。

※この記事は『サライ』2023年4月号より転載しました。

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