家山川橋梁を渡る臨時SL急行「さくら」。国鉄時代の寝台特急のヘッドマークを復刻して走る。ここから家山駅まで桜並木が続く。写真/坪内政美

立ち並ぶ沿線桜に映える蒸気機関車
家山駅|静岡県・大井川鐵道 

静岡県の金谷駅〜井川駅まで大井川に沿って走る大井川鐵道は蒸気機関車の運転で知られる地方私鉄だ。路線の中ほどにある家山(いえやま)駅には県内でも知られた桜並木がある。駅から線路に並行する大井川の堤防上に約280本のソメイヨシノが並び、隣接する家山川緑地公園の桜とともに3月下旬から4月上旬になると白雲が湧き上がるような桜風景が現れる。

これに合わせて3月18日〜4月2日まで「かわね桜まつり」も開催、臨時SL・EL列車「さくら号」も運転される。

SLと桜の風景

旧型客車が停まるホームと桜。2022年の台風による被害のため、家山駅~千頭駅はバスによる代行輸送を実施している。写真/レイルマンフォトオフィス

堤防の桜は昭和6年(1931)、大井川鐵道が千頭(せんず)まで全通したときに植えられたソメイヨシノで、90年を経た老木が並ぶ。また家山川の南側に続く通称「桜のトンネル」も見事だ。

列車と桜の観桜ポイントは駅から300mほど南に歩いた家山川橋梁付近で、河原から桜とSL列車を眺めることができる。また列車の車窓からは、家山駅からひと駅南側の大和田駅周辺から沿線に桜が目立ち始める。

家山駅のホームと並行する大井川に沿って桜並木が続く。この並木に沿って通路があり、敷地の外からも駅と桜の景観を楽しめる。

案内人
杉崎行恭(すぎざきゆきやす)さん
(駅旅ライター・69歳)

昭和29年、兵庫県生まれ。写真家、フリーライター。旅行雑誌を中心に活躍。鉄道全般に造詣が深く、駅と駅舎の専門家としても知られる。著書に『百駅停車』(新潮社)、『あの駅の姿には、わけがある』(交通新聞社)など多数。
※杉崎のさきはただしくは「たつさき」。

※この記事は『サライ』2023年4月号より転載しました。

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