昭和の時代が終わってから、早いもので30年以上が経過してしまいました。過ぎ去りし日と共に、昔の記憶を呼び起こしてくれるモノも、少しずつ身の回りから姿を消しています。
たとえば、見慣れた近所にあった古い建物が、突然に取り壊されたりすると、まるで大切な記憶の一部が、誰かに剥ぎ取られたかのように寂しい気持ちになったりもいたします。これも時代の流れかと、諦めなくてはなりませんが、どこか寂しさを感じざるをえません。そんな時、遠い記憶の中にある風景を探しに、知らない町や村を彷徨したくなります。
あなたの記憶の中にある“懐かしい風景“と重ね合わせ、ひと時のノスタルジーに浸っていただけたら幸いです。
日本各地を取材などで訪れますと、大きく変化する街と時代の流れから取り残され、まるで時間が止まったかのような街があります。
それぞれに良さはあるのですが…、サライ世代になりますと、どちらかと言えば昔の雰囲気が色濃く残る場所や空間の方が「落ち着く」「心地よい」と思う人の方が多いのではないでしょうか?
今回の「懐かしき風景」では、サライ世代なら誰もが「昭和の時代」を思い起こすであろう風景をご紹介します。

訪れたのは、広島県の尾道市。
尾道というと、階段や坂道の多い瀬戸内海に面した街という印象を持っている方が多いことでしょう。文学に造詣が深い方なら、志賀直哉や林芙美子といった文人ゆかりの地であることはご存知の通りです。
映画好きの方であれば、大林宣彦監督の出身地で尾道三部作をはじめとする数多くの映像作品の舞台となった「映画のまち」として記憶している方もおられるかもしれませんね。
そうした映画の場面に度々登場する尾道、今回は、どこか懐かしいアーケード街と尾道水道へと向かう細い路地を中心に散策してみました。

地方のアーケード街というと、大型のショッピングモールやアウトレット施設ができたことで、かつて賑やかであった地元商店街はたちまちシャッター商店街化してしまう。そんな街を、これまで数多く目にしてきました。残念なことでありますが、そのような街には「さびれた昭和」しか感じることができず、寂しさだけが心に残ってしまいます。
しかし、ここ尾道のアーケード街は、昭和世代なら誰もが記憶している、活力のあった賑やかな昭和の街並みが存在しておりました。

東京のとある所に「昭和の熱気を体験できる」アミューズメントパークができて、大変な人気とか? しかし、ここ尾道へ来れば、無料で昭和ワールドを存分に楽しむことができるはずでありましょう。是非、一度訪れてみては如何でしょうか?

記者のお薦め宿泊施設や食べ物
◯お勧めの宿泊施設:西山別館
港町、寺の町、そして文学の町、尾道を象徴するようなお宿をご紹介しましょう。かつての文豪が愛してやまなかった備後の國の“御忍びの宿”との呼び声の高い「西山別館」であります。
「西山別館」は、昭和初期に建てられた純和風の旅館。広々とした玄関、前室があって数寄屋作りの本間等々、すべてが理想的な趣きある空間が演出されております。特に素晴らしいのが日本庭園。

そんなお宿で、瀬戸内の海の恵みを食し、至福の時を過ごすのは如何でしょうか? きっと、サライ世代にとっては、理想的な一夜になると思いますよ。
◯尾道ラーメン 壱番館
今や尾道名物といえば「尾道ラーメン」。全国からラーメンマニアが、この地を訪れます。その特徴は、鶏ガラで取った澄んだダシと瀬戸内の小魚からとったダシに醤油を合わせたスープがベースなのですが、表面に浮く背脂のミンチがこってり感を加えています。 麺は中細で平打ちのものが多く使われています。
数ある名店の中からお勧めするのは、『ミシュランガイド広島2013』に紹介された「尾道ラーメン 壱番館」です。
尾道・海岸通りにある店舗では、コシがしっかりしていてスープのよくからむ平打ち熟成生麺の尾道ラーメンが味わえます。この店の人気No1メニューは、「尾道角煮ラーメン」。夏季限定の「尾道冷麺」はピリカラでクセになる味であります。通販サイトでも販売しておりますので、ご家庭でもお楽しみいただけます。

アクセス情報
所在地: 広島県尾道市東御所町 JR尾道駅構内 MAP
鉄 道: JR山陽本線「尾道駅」下車
自動車: 山陽自動車道 尾道IC下車
取材・動画・撮影/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
ナレーション/敬太郎
京都メディアライン:https://kyotomedialine.com
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