愛犬や愛猫など、ペットは家族同然の大切な存在。ひとり暮らしの人にとっては、自分がいなくなったあとのことが心配の種でしょう。
準備なく突然に飼い主が亡くなった場合、引き取り希望者がいないことが多いそうです。そうなると残されるペットが不憫です。
そこで今回は、ペットのこれからを考えた遺し方についてご紹介していきます。
■1:引き取り手の負担を減らす準備
引き取り希望者が現れた場合でも、引き取る側でペットの詳しい情報が得られないと、困ることが多いそう。ペットの名前はもちろん、種類、性別、年齢、かかりつけの病院、健康状態、病気の有無、過去にかかった病気や予防接種の記録、性格や特徴、好きな食べ物、嫌いな食べ物、食べさせてはいけないものなどを、きちんとまとめて記録し、保管しておきましょう。
身内や友人の中で引き取ってくれそうな人がいるときは、ペットにかかる養育費を準備しておき、そのことを伝えておきましょう。また、ペットの世話をしてもらうという条件付きで、相応の遺産を取得してもらう「負担付遺贈」という方法もあります。
■2:ペットと新しい飼い主との良い関係を準備
ペットが新しい飼い主とより良い関係を築くために、可能であれば、引き取ってくれる予定になっている人と、日頃より一緒に散歩したり、遊んだりする時間を持っておくとよいでしょう。
ペットの寿命が近いようなら、お迎えがきたときにどうしてほしいのかについても考えておきたいところ。事前に用意しているペット墓に埋葬してほしい、あるいは自分のお墓に一緒に埋葬してほしいなど、希望があるときは、きちんと書面にして残しておきましょう。
■3:引き取り手が見つからないときは
事前の段階で引き取ってくれる人がみつからないときには、里親制度や老犬ホームに預けるという方法もあります。
ただし里親制度は子犬でなければだめなど制限のあるところも多いので、かかりつけの獣医に「里親制度」 について尋ねてみる、インターネットで近隣で利用可能な制度を探してみるのなども、よい方法です。
また10 年ほど前より「老犬ホーム」の数が増え、少しずつ利用する人も増えてきました。よいホームかどうかの判断が難しい部分もありますが、獣医や信頼できるトリマーなどから情報を得て、実際にいくつか訪ねておくと様子がわかります。頼みたいと思うところを探しておくと、自分がいなくなったあとの心配はかなり減らせるでしょう。
■4:気をつけたいインコやオウム
気をつけたいのが、寿命が長いインコやオウム。なかでもコバタンやキボウシインコの平均寿命はなんと40〜50年もあります。1980(昭和55)年前後に人気だったこの2種は、1992(平成4)年、絶減の恐れのある種を保護する「種の保存法」の対象になったため、一般財団法人自然環境研究センターへの登録がないと第三者に譲渡できません。
規制前に飼い始めた鳥は登録票がないため、いざという時に引き取りをお願いしたくてもできなくなってしまうこともありますから、登録を忘れずに行っておきましょう。
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家族の一員である愛するペットが幸せに暮らしていけるよう、できることなら愛情を持って接してくれる引き取り手を探しておきたいものですね。そのためには、飼い主が元気なうちからペットにとってベストな預け先を検討しておくことが大切です。
文/庄司真紀