古くから日本の建築で用いられる和釘は、鍛冶屋が金槌で一本一本叩いて作る。現在製造しているのは全国に2、3軒とわずかだが、寺社などの文化財修復に欠かせない釘だ。「火造りのうちやま」は、金物の町・三条(新潟県)で伝統の和釘づくりを継承している。
「1400年前から製造されてきた和釘を後世に残すのが私たちの使命です。守りに入らず、新しい材料・手法を模索しながら、新商品を開発することもその一環。和釘同様に職人が叩いて鍛えたチタン製の耳かきは、耳あたりがしっかりとしており、しなりのある竹製では物足りないという人におすすめです」と語るのは代表の内山立哉氏。
注目すべきは、持ち手の後端が巻頭という和釘モチーフであること。先端がくるりと巻かれた形は、和釘製造の中でも難度の高い仕事。さらに、金槌で丹念に打たれた美しい槌目は、荒荒しくも繊細な鈍色の光を宿す。
「持ち手部分は、槌目がはっきりと残るように2.5mmと太めです。先端の匙さじ部分は一旦加熱をし、耳穴に入りやすいように細く延ばして調整を行ないます。素材はチタン製なので、金属アレルギーを起こしにくいという利点もあるのです」(内山氏)
職人が魂を打ち込んだ傑作は“耳かきしっかり派”が大満足の仕上がりだ。
【今日の逸品】
鍛造チタン耳かき
火造りのうちやま
7,480円(消費税込み)