『日本美術「辰年」カレンダー』

表紙は曽我蕭白『雲龍図』(部分)ボストン美術館蔵。

毎年好評をいただいている、『サライ』の特製カレンダー。2024年版は、日本美術の巨匠たちが描いた龍に纏わる12作品で1年を彩ります。

日本美術の傑作で構成したカレンダーを、是非ご愛用ください。

古来、日本美術において「龍(辰)」は 如何にして描かれてきたのか

日本美術における「龍図」とは、専ら狩野派に代表される漢画系の水墨作品の定番中の定番の画題である。しかし、このカレンダーではそうした流れの中にある画家たちの作品と共に、近年とみに名声を高める「奇想の画家」と呼ばれる伊藤若冲や曽我蕭白、長沢芦雪といった画家たちの名作も盛り込み、バリエーションに富んだ龍に纏わる絵画で構成している。

そもそも、日本における龍の絵画の原初は、昭和47年(1972)に発掘された国宝『高松塚古墳壁画』(7世紀末~8世紀)である。その東壁に描き出された「青龍」が最も古い作例であり、古代中国における四方を司る守護神のひとつとして表されたものだ。

各月毎の絵画解説ページもあります。

翻ってここに掲載した作品の多くは、鎌倉時代以降に渡米した中国・南宋絵画の龍の描き方を基本としたものであり、室町時代以降になって龍と虎が対になった「龍虎図」としても盛んに描かれてきた形式を踏襲したものである(「登龍門」に因む2作と若冲、北斎の作品は例外)。

室町時代以降、「雲龍図」や「龍虎図」が好んで描かれた背景には、龍が仏教を守護する八部衆の一神であり、仏法の雨を降らす存在として特に寺院において尊ばれていたこと、さらには中国の『易経』等において「龍」が英雄や徳のある聖人君子の象徴であり、「虎」が革命の象徴とされたことから、とりわけ戦国時代以降の武将たちにとっては、下剋上が成って、理想的な君主が領土を治めるイメージを想起させるものとして尊ばれたことが挙げられる。

いずれにしても、瑞兆を表す霊獣である龍は、室町、桃山、江戸と時代が変遷しても極めて重要な画題であり続け、ここに紹介したような巨匠たちが魅力ある作品を数多く生み出すこととなったのだ。

『サライ』12月号特別付録は、日本美術「辰年」カレンダー|2024年『サライ』特製カレンダー

 

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