アヒージョという料理名は、にんにくを意味している
スペインの居酒屋「バル」が日本でもだいぶ定着してきました。「タパス」と呼ばれる小皿のおつまみが提供され、少しずついろいろな料理が楽しめるのは、日本人の嗜好(しこう)に合っているのかもしれません。そのようなタパス料理で人気を呼んでいる一品が「アヒージョ」です。
アヒージョという料理名は、大蒜(にんにく)を意味しています。「カスエラ」と呼ばれる茶色い浅型の土鍋に具材を入れ、オリーブオイルと大蒜でゆっくり煮込んだだけの、簡単料理です。現地では貝類や海老、茸類が定番。大蒜の香りや旨みは、食欲をそそる上に酒を呼びます。どんな具材を入れても、失敗無く仕上がるのも、この料理のいいところ。
「マッシュルームのアヒージョ」を例に、作り方を説明しましょう。日本ではカスエラは一般的ではないので、小さめのフライパンか耐熱性の土鍋を用意するといいでしょう。そこにオリーブオイル適量とみじん切りの大蒜2片分、種を取り除いた赤唐辛子を1~2本入れます。弱火にかけて香りが立ってきたら、マッシュルーム、塩をふたつまみ程度加えます。あとはマッシュルームに火が通れば完成。好みで黒胡椒をふっても香りが良いです。肉厚の椎茸や海老、ひと口大に切った鶏肉で作っても美味。これからの季節は、牡蠣(かき)を使うのも。
旨みと香りが溶け込んだオイルは、バゲットにつけたり、パスタソースに利用したり、使い勝手の良い調味料となります。ホームパーティーやもてなし料理としても最適です。
文/大沼聡子