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夏用のジャケットは通気性のよさが肝心

また、素材に加えて忘れてならないのはお仕立て方法です。

ネクタイを緩めたり外したりする。ワイシャツの袖口のボタンを外す。シャツをズボンの外に出す。このようなちょっとしたことで、涼しくなったと感じられた経験があるでしょう。これはすべて換気効果、つまり通気性がよくなったために感じられるのです。

せっかく通気性に優れた素材を使っても、仕立て方法が秋冬物の上着と同じでは、素材の特長を充分に生かすことはできません。素材の持ち味を生かすために、夏用のジャケットでは、できる限り裏地を減らし、通気性に優れたメッシュの芯地を使用する、というような工夫がなされています。

また、中にはアンコン仕立て(米語のunconstructedの略。英語ではunstructured)という、芯地や裏地を全く使用しない仕立て方法もあります。

裏地をできるかぎり省いた「大見返し」という仕立て方。写真は表と裏の色が異なる生地で作った上着で、肩と袖裏にだけ、裏地が施されている。

裏地をできるかぎり省いた「大見返し」という仕立て方。写真は表と裏の色が異なる生地で作った上着で、肩と袖裏にだけ、裏地が施されている。

写真右側の黒い生地がメッシュの芯地。下にあるベージュの生地が通常の芯地。

写真右側の黒い生地がメッシュの芯地。下にあるベージュの生地が通常の芯地。

アンコン仕立てで作られたジャケット。裏地も芯地も使わないのでシャツのようにとても軽いが、unconstructed=構築的ではない分、見た目はカジュアルになる。

アンコン仕立てで作られたジャケット。裏地も芯地も使わないのでシャツのようにとても軽いが、unconstructed=構築的ではない分、見た目はカジュアルになる。

ただし、仕立て方法や使用する芯地によって、できあがりの外見に違いがあることを理解しておく必要はあります。

通気性を阻害することなく、それでもジャケットとしての形態をある程度確保した仕立てを希望されるのか。
上着としてのボリューム感を犠牲にしても、軽さを求めるのか。
ジャケットの形をしたシャツのようなアンコン・ジャケットがご希望なのか。

どのようなシーンで、どのように着用したいかで、おのずから上着の仕立て方の選択方法は違ってきます。

ちょっと改まった場で着るのであれば、芯地をつかった通常のジャケットタイプが良いでしょうし、旅先や週末のお出かけにカジュアルに羽織るということであれば、アンコン仕立てでもよいでしょう。

この夏はTPOにあわせた上着選びで、ワンランク上の装いを楽しんでいただきたいと思います。

文/高橋 純(髙橋洋服店4代目店主)
1949年、東京・銀座生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本洋服専門学校を経て、1976年、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションのビスポーク・テーラリングコースを日本人として初めて卒業する。『髙橋洋服店』は明治20年代に創業した、銀座で最も古い注文紳士服店。

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