洋服の素材の歴史を振り返ると、昔から夏の定番といわれてきた麻に代わって、まず1950年代に“トロピカルウーステッド”(通称“トロ”)という、従来のウール織物よりも薄手の生地が登場しました。
そして60年代には、アンゴラヤギの毛を使った“モヘア”の服地が誕生。繊維の腰が強く、通気性の高いモヘアは、新たな夏服の代名詞として人気の素材となりました。
さらに90年代になると、紡績技術の進歩によって誕生した、トロよりさらに薄手の“サマーウーステッド”に人気が集まり、夏素材の多様化が始まりました。
そして今、いわば第5世代の夏素材として注目を集めているのが、ウール&リネン、ウール・リネン&シルクのような、ウールと麻、そして絹との混紡素材です。肌にまとわりつかず、ひんやりとした肌触りのこれらの服地の特徴は、なんといっても通気性に優れていること。そしてカジュアル化が進む夏の装いにもよくマッチした素材感で、年々人気が高まっています。