取材・文/柿川鮎子 写真/木村圭司

毎日暑い日が続くと、食中毒の被害が心配になります。特に気温が高い今年の夏は、菌も繁殖しやすくなるため、犬の飼い主さんにとっては心配なことも多いはず。今回は、ひびき動物病院院長の岡田響さんに飼い主さんが知っておくべき食中毒対策について聞きました。

夏は犬が大好きな食餌が原因で食中毒にならない工夫が大切。フードを与える前に、必ず飼い主さんが目で見て品質チェックを。

高温多湿の夏は細菌由来の中毒に注意

下痢や嘔吐などを引き起こす食中毒の原因には、細菌、ウイルス、自然毒、化学物質、寄生虫などさまざまあります。また、食べてから症状が出るまでの期間やその症状、予防方法も異なります。高温多湿となる夏は特に菌が繁殖しやすくなり、細菌由来の食中毒に注意が必要。

ヒトの食中毒の原因となる細菌の中には、食品に付着して増えた細菌を食べることで発病する「感染型」と、食品中で大量に増えた細菌が毒素を作り、この毒素を食品と一緒に食べることにより発病する「毒素型」の2タイプがあります。感染型の代表がカンピロバクター、サルモネラ菌、など。毒素型には腸管出血性大腸菌や黄色ブドウ球菌などです。

こうした菌のほとんどは口から体内に入って下痢や嘔吐を引き起こします。

「犬が口に入れるものの筆頭はフード、そして水です。夏は特にこの二つに注意して、食中毒を防ぎましょう。特に今年の夏は暑いので、フードの保管にはいつもの夏以上に注意した方がいいでしょう」と岡田さん。

生の肉を与えている飼い主さんや、自宅で調理したものを与えている(トッピングを含む)場合は、食材に付着した菌の問題もあります。

しかし、ほとんどの飼い主さんは市販のドッグフードを与えているでしょう。今回はドライフードとウエットフード、両方の保存方法や衛生管理についてアドバイスしていただきました。

夏の食中毒対策その1「ドライフードの保存」

「ドライフードを冷蔵庫に入れて保存している飼い主さんもいるかと思いますが、基本的にドライフードは冷蔵保存の必要がありません。むしろ、冷蔵庫から出した時に結露が発生し、その水分をフードが吸い込み、時間が経つとパッケージの中でカビてしまうケースがあり、フードを痛めてしまう原因となります」

「冷蔵保存する場合は、何度も出し入れする必要がないように小分け(小分けの分量は一度出したら、その後は冷蔵庫に出し入れしない程度の少量)にして、一度出したものはそのまま常温で保存してください。買ってきたパッケージのまま冷蔵庫に入れるのではなく、空気を遮断できるようなジップ付きの袋や、口がきちんと閉まる別の容器に入れ替えて冷蔵保存した方が安全ですよ」

ジッパー付きのビニール袋に入れ替える場合は、なるべく小さめのものにして量を減らし、中に空気を入れないようにした方が、変質を防げる。

岡田さんは特に今年の夏はフードが保存されている場所の温度管理にも、注意が必要だと言います。

「前回、災害時のペットとの同行避難について環境省が発表した災害ガイドラインを紹介しました。ドックフードについても、災害対策として備蓄を一袋余分に用意しておくと安心です。とはいえ、今年の夏は室温が30度を超える日が多く、あまりにも高温多湿だと置く場所によって、中身が変質することがあるようです。風通しの良い、直射日光の当たらない場所に保存したほうが安心です。フードメーカー数社に確認したところ、『おおよそ、ヒトの生活できる温度(リビングや台所の室内温度)で保管するのなら、ドライフードは常温保存のままで大丈夫』とのこと。普段ヒトが生活している部屋にストックを保存しておきましょう」

「各社とも開封してから使い終わるまで、大体1か月程度で使い切ることを想定されていますが、酸化が問題となるため、封をあけっぱなしでは1か月は無理なのではないかと私は思います。一度開封したものについては、食べる前に毎回、飼い主さんが中身をよく見て、変わったところが無いかを確認してから、与えてください。色が変わっていたり、変なニオイがしたら潔く捨てて。与えられる犬は食べ物を選べません。飼い主さんが注意しておくことが一番なのです」
と注意を促しています。

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