払済保険というものをご存知でしょうか? 加入している保険を見直す際の選択肢の一つですが、耳慣れない言葉だと思います。今回は払済保険について、そのメリットやデメリットなどについて詳しくみていきましょう。

100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。

目次
払済保険とは?
払済保険を利用する理由
払済保険のメリット
払済保険のデメリット
まとめ

払済保険とは?

前回解説した延長保険(https://serai.jp/living/1207816)と同様に、保険の見直しの際に、選択肢の一つとして払済保険とすることを勧められるケースがあります。まずは、払済保険の概要についてみていきましょう。

払済保険の概要

払済保険とは、保険料の払込みを中止して、保険期間を変更することなく、その時点での解約返戻金をもとに計算された保険金額の保険へ変更する方法です。解約返戻金を利用しますので、払済保険にするためには貯蓄性のある終身保険や養老保険などの保険であることが前提となります。

解約返戻金がある場合でも、その時点での金額が少ない場合は払済保険にすることができないケースもあります。一般的には、払済保険に変更した後の保険金額は、元の保険の保険金額よりも小さくなります。

保険を見直す際の選択肢の一つに延長保険がありますが、延長保険は解約返戻金を保険料に充当し、変更後定期保険として継続するため解約返戻金はなくなります。

それに対して、払済保険は元の契約の予定利率で解約返戻金が増えていくので、変更後も解約した場合には解約返戻金を受け取れる可能性があります。終身保険を払済保険に変更する場合のイメージは、以下の通りです。


<図表1>終身保険を払済保険に変更するイメージ

(株式会社SMILELIFE projectにて作成)

払済保険を利用する理由

払済保険を利用する理由はいくつかありますが、主に「保険料の負担をなくしたい」「必要以上の保障額となっている」など、保険の見直しを検討する際に払済保険の利用を検討します。

保険料の負担をなくす

加入した当初は、想定していなかったライフスタイルの変化などにより、保険料の支払いが難しくなり、保険料負担をなくしたいと考えた場合、保険を解約してしまうと当然保障もなくなりますので、不安を感じる人もいるでしょう。このような人のニーズにこたえられるのが、保険料の払い込みを止めて保障を継続できる払済保険です。

保障は元の保険金額よりも小さくなりますが、最低限の保障を確保しつつ保険料の負担をなくすことで、ライフスタイルの変化に対応することができるのです。

必要以上の保障額となっている

加入している保険が必要保障額以上である場合、保障額を下げても問題ないことを確認し、払済保険にすることで、保険料負担分を他のことに活用することが可能となります。保険料負担がなくなることで生活に余裕ができたり、将来のための資産形成に資産運用を取り入れたい場合には、それまでの保険料負担分を原資とすることができます。

払済保険のメリット

払済保険のメリットは、主に以下の3つとなります。

保険料の支払いが不要になる

払済保険に変更すると、その時点から保険料が発生しなくなるため、以降の保険料の支払いが不要となります。「保険料の負担をなくしたい」「他の保障を充実させたい」「保険料負担分は投資に回したい」などの目的で、見直しを検討している人には最大のメリットといえるでしょう。

解約せず保障を続けられる

払済保険にすれば、保障額は減ってしまうものの、解約せず保障を継続できるため、最低限の保障を確保することができます。

払済後も解約返戻金は増えていく

払済保険は、元の保険の契約時の予定利率で運用が続くため、解約返戻金は変更後も増え、解約したときは解約返戻金を受取ることができる可能性があります。

払済保険のデメリット

払済保険にも、以下のようなデメリットがあります。払済保険に変更するかどうかはデメリットを十分に理解しておくことが重要です。

特約が消滅する

払済保険にすることで、主契約である死亡保障は継続しますが、付加している特約は消滅してしまいます。払済保険への変更を検討している保険契約に、医療特約・介護特約・収入保障特約などの特約を付加している場合は注意が必要です。ただし、リビング・ニーズ特約など、特約保険料がかからない部分は継続できるケースが一般的です。消滅する特約の保障が必要な場合は、別途加入することになります。

保障額が減額する

払済保険にすると、保障額が小さくなります。保険は、万一の場合に備えて加入するものですから、必要保障額については自分のライフプランを作って試算した上で、払済保険にした後も必要保障額を満たしているかどうか確認する必要があります。

払済保険への変更によって減額され、必要保障額を満たしていない場合、掛け捨ての定期保険で必要期間のみ補うという選択肢もあります。

新しい保険への加入は審査が必要

保険料の支払いが困難なため払済保険に変更した場合、その後経済的に安定してきたら元の保障額と同額にするために新たに保険契約をするということも考えられます。しかし、新しい保険に加入する際には、健康に関する告知や健康診断などの審査が必要です。

審査の内容によっては加入することができない場合がありますので、「後からまた保険に加入すれば良い」と安易に考えることは避けるべきです。

まとめ

払済保険は、保険料負担を無くし保障も継続できる方法として、保険の見直しの選択肢の一つとなっています。しかし、一番のポイントは変更後の保障額が必要保障額を満たしているかということです。払済保険を検討する際には、必ず必要保障額を把握しておきましょう。

さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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