住宅ローンの金利は返済総額に大きく影響しますので、金利タイプの選択は慎重にする必要があります。住宅ローンの金利は大きく分けると、「固定金利」と「変動金利」という2つのタイプがあります。どちらのタイプを選ぶかは人それぞれですが、何を基準に考えたらいいのか迷う人も多いのではないでしょうか?

今回は住宅ローンの「固定金利」について詳しく解説していきます。100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。

目次
住宅ローン固定金利とは? 変動金利との違い
固定金利が向いている人
固定金利を選ぶ場合の注意点
まとめ

住宅ローン固定金利とは? 変動金利との違い

前回の記事(参照:住宅ローン金利相場とは? タイプ別の金利相場を解説)で、「金利は常に変動している」ことを解説しましたが、固定金利もこれに該当します。固定も変動? と混乱してしまうかもしれませんが、これはあくまで市場の金利の値動きのことを指しています。

契約する金融機関や時期によって、適用される金利が異なるというわけです。では、「固定」とは何を指すのでしょうか?

住宅ローンの固定金利とは

住宅ローンの固定金利とは、契約当初に適用された金利が決められた期間中は一定で、途中で変更されることがない金利タイプのことを言います。

固定金利は長期金利(10年国債利回り)に連動しており、各金融機関は基準金利からそれぞれが設定する優遇幅を差し引いた金利を適用金利としています。

2022年12月、日銀の金融政策決定会合で長期金利(10年国債利回り)の変動上限を、0.25%から0.5%程度に拡大するとしたことで、事実上の利上げと捉えられました。長期金利は上昇し、それに伴い2023年1月には、住宅ローンの固定金利も上昇しました。このように、長期金利の影響を受けることが特徴の1つです。

変動金利との違いとは?

<金利の見直し>

固定金利は期間中一定であるのに対して、変動金利とはその名のとおり変動します。契約期間中半年に1回、金利の見直しがあり、見直し時期の金利相場が適用されます。

<金利決定の要因>

固定金利は、変動金利よりも高めに設定されるのが一般的です。固定金利は、長期金利(10年国債利回り)に連動していますが、変動金利は短期金利(無担保コール翌日物金利)に連動しています。つまり、基準金利を決める基となる金利が異なるため、固定金利と変動金利は異なる動きをするのも特徴の1つです。

固定金利のタイプ

固定金利のタイプには、「全期間固定型」と「固定金利期間選択型」があります。

<全期間固定型>

借入れ開始から返済終了まで、金利が一定です。

<固定金利期間選択型>

固定金利の期間を、2年・5年・10年・20年などから選択して契約当初は固定金利。固定金利期間が終了した時点で、固定金利か変動金利かを選択します。特に選択をしない場合は、自動的に変動金利となります。

固定金利が向いている人

固定金利と変動金利のどちらが向いているのかは、それぞれのライフプランや支出の管理に対する柔軟性と、今後の金利の推移をどう捉えるかによって異なってきます。

例えば、金利が大きく上昇しないと想定します。金利が低い変動金利を選択し、毎月の返済額をなるべく抑えて収支に余裕を持たせつつ、将来の一括返済の準備のために積立投資により、ローン金利以上の運用収益を得るという選択肢もあります。この場合は、変動金利を有利に活用することができます。では、固定金利が向いているのはどのような人なのでしょうか?

返済計画を明確にしたい人

全期間固定型は、元利均等払いの場合、返済終了まで毎月の返済額が変わりません。そのため、家計の中で大きな割合を占める住宅費を一定にすることにより、それを前提にしたライフプランを作って、他のライフイベントの資金(教育資金や老後資金)などを検討したいといった人は、固定金利がおすすめです。

金利上昇について考えたくない人

「将来金利が上昇するのが不安」、あるいは「金利の上下によって返済額が変動すると支出の管理が難しい」と考える人は、精神衛生上よくないので固定金利を選択するとよいでしょう。

固定金利を選ぶ場合の注意点

固定金利は、「固定金利期間内は返済額が一定(元利均等払いの場合)」という点がメリットですが、固定金利を選ぶ際に注意すべき点もあります。

金利のタイプを選ぶ際の基本的な考え方として、今後の金利の推移が大きなポイントとなります。低金利が継続する、あるいはさらに低金利となる傾向だと考えるのであれば変動金利。将来は金利が上昇すると考えるのであれば、固定金利を選択するということを理解しておくと良いでしょう。

固定金利を選ぶ場合の注意点

固定期間中は、金利タイプや固定期間を変更することは原則できません。変更したい場合には、借り換えを行うことになり、金融機関へ借り換えの申し込みや、借り換えによる諸費用などが必要になります。

借り換える際には、その時の収入・職業・年齢などによって改めて審査されるので、希望する借り換えが実現できない可能性もあります。「低金利が続くようであれば借り換えをすれば良い」という考えで、固定金利を選んだとしても、思うように借り換えが出来ない可能性も考慮に入れておく必要があります。

固定金利期間選択型の場合は、全期間固定型よりも金利は低いのが一般的です。しかし、固定期間が終了して金利タイプの選択をする際に、固定金利の優遇幅は借り入れ当初より小さくなりますので、金利は高くなります。また、変動金利を選択する場合は、金利が上昇している可能性があるということにも気をつけてください。

まとめ

今回は、「住宅ローンの固定金利」についてみてきましたが、いかがだったでしょうか? 固定金利と変動金利のどちらを選択するかは大変難しく感じることでしょう。なぜならば、将来の金利がどのように変動するかは誰にもわからないからです。そのため、いくつかのケースでシミュレーションした上で、自分のライフプランに合った金利タイプを選ぶことが重要となるのです。

資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行われています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか? 

さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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