為替というと、現在では外国為替のイメージが強いのではないでしょうか? 外国為替は、外国との為替の取引のことで、異なる国の通貨を交換することです。交換する際の金額は毎日のように変動し、一定ではありません。ではなぜ、為替は金額が変動するのでしょうか? 今回は、為替相場や変動する仕組みについて解説いたします。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
為替相場とは
為替変動の仕組み
為替が変動する理由とは?
まとめ
為替相場とは
まず、「為替相場」とは何なのかを説明していきます。
為替相場とは、一般的に為替レートとも言います。外国為替市場において、異なる通貨が交換(売買)される際の交換比率のことを指します。英語では、「Foreign Exchange」と表現されます。「FX」という言葉をご存じの方も多いのではないでしょうか。
日本で最も頻繁に目にする為替相場は米ドル・円相場ですが、そのほかにも米ドル・ユーロ相場、円・ユーロ相場などの様々な通貨の組み合わせに関する相場が存在します。
変動相場制
現在の為替相場は、変動相場制をとっています。変動相場制は、「フロート制」とも呼ばれ、固定相場制のように通貨を一定比率に固定しません。為替レートの決定を、外国為替市場の需要と供給により自由に変動させる制度をいいます。
その歴史はまだ浅く、1970年代から採用されるようになりました。1971年8月のドルと金の交換停止を表明したニクソンショック以降、スミソニアン体制(ドルの切り下げと為替変動幅の拡大をした固定相場制)に移行しました。しかし、1972年6月に英国がこれを放棄して変動相場制に移行すると、1973年3月までに主要国(先進各国)は変動相場制に移行することになりました。
日本では、第二次世界大戦後に固定相場制がとられ、1ドル=360円に固定されていましたが、1973年2月14日に変動相場制に移行しました。そして、1976年1月にジャマイカのキングストンで、国際通貨基金(IMF)の暫定委員会が開かれ、変動相場制が正式承認されたのです。
変動相場制の為替相場は、誰かが一方的に決めるわけではなく、市場における需要と供給のバランスによって決まります。
為替変動の仕組み
外国為替相場を決定する大きな要因は、需要と供給のバランスです。ある一つの通貨に交換したい(その通貨を買いたい)人が多いと、その通貨の価値は上がり通貨高になります。反対に、ある一つの通貨を手放したい(その通貨を売りたい)人が多いと、価値は下がりその通貨は通貨安となるのです。
それでは、貿易収支が変動の要因となっている例で考えてみましょう。日本の企業がアメリカに製品を輸出した場合、その代金はドルで受取ることになります。しかし、日本国内で製品にかかる原材料費や人件費などを支払うためには、代金として受取ったドルを円に交換しなければなりません。
その場合、日本の企業は「ドルを売って円を買う」という取引を行うことになります。日本からの輸出が増えていくと、「ドルを売って円を買う」ことが増えていくので円の需要が高まり、為替相場は円高・ドル安の方向に進む要因となります。
反対に、日本の企業がアメリカから製品を輸入した場合、代金をドルで支払うには円をドルに交換しなければなりません。そのため、「円を売ってドルを買う」という取引が行われます。アメリカからの輸入が増えていくと「円を売ってドルを買う」ことが増えて円安・ドル高の要因となるのです。
ある国の輸出金額が、輸入金額を大きく上回る状態が長く続くと、その国の通貨に対する需要が高まり、通貨は高くなっていく傾向があります。為替相場は、他にも様々な要因に影響を受けて変動しますが、一般的な為替変動の仕組みを考えると需要と供給のバランスによって変動していると言えます。
為替が変動する理由とは?
為替相場は、景気や金利など様々な要因に影響を受けて変動します。先述の貿易収支は大きな要因の一つですが、その他にも以下のような要因があげられます。
金利・物価変動
一般に、金利が高くなった国の通貨価値は上昇し、金利が低くなった国の通貨価値は下落する傾向があります。高金利の通貨を買い、より多くの収益を得たいと思う人が増えるからです。また、インフレで物価高になると物の値段が上がり、通貨の価値は下がり通貨安になる傾向があります。しかし、政府は金利を引き上げることでインフレを抑え込むという対策をとることが考えられます。
このように、金利差や物価変動も為替変動の要因です。急激に進んだインフレを抑えるためにアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が利上げ政策をとったことにより、昨年秋には一気に1ドル150円までドル高が進み、30年ぶりの円安となったことは良い事例です。
経済指標の発表
GDPや雇用統計などの経済指標は、その国の景気や経済の状態を把握するための指標となります。景気が良い国の通貨は、株価や金利上昇への期待感から買われ、価値が上昇する傾向にあります。一方で、景気が悪い国の通貨は売られやすく、価値が下落する傾向となります。
戦争や地域紛争
戦争やテロによって政情不安が起きると、突如としてその国の経済活動が停止してしまう可能性があります。そのため、投資活動や消費に悪影響が出ることが懸念され、その国の通貨は売られる傾向にあります。
昨年2月、ロシアによるウクライナ侵攻に対して、日米欧による経済制裁が発表された直後にロシアの通貨ルーブルは一気に約半分まで落ち込みました。
中央銀行の為替介入
中央銀行が外国為替市場で通貨売買を行うことを、為替介入といいます。過度な為替変動は貿易をはじめ、国民の生活にも影響を与えるため、国は大きな為替変動が起きた場合、為替介入によって為替相場を安定させることがあります。2022年秋に1ドル150円を超えた時には、日本政府・日銀は為替の介入を行い144円台まで円高に戻しました。
まとめ
今回は、為替相場の仕組みや変動する理由について解説いたしました。リスク分散の一つとして外貨を持つケースがありますが、その場合、為替相場の変動に大きく左右されることがあります。まずは、為替相場の仕組みや変動する理由について理解しておくと良いでしょう。
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●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
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