家事手伝いを2~3年して、嫁に行くのが理想

娘は大学卒業してから家にいるのだという。

「いわゆる“家事手伝い”です。これは女性蔑視とかそういうことではなく、私は働かなくてもいい環境にあるなら、女性はムリに働かない方がいいと思っているんです。なぜなら、日本の会社って、セクハラとかパワハラがひどい。女性は特にその対象になっている。男性の給料より安く、雑用ばかりさせられる。それなら2~3年好きなことをして、しかるべき家に嫁に行けばいいと思っていたんです。これが私の理想」

今は令和の時代だ。昭和……戦前の人と話しているかのような錯覚を覚えた。幸三さんは、フフっと笑い「あなたのような反応をする人は多いんです。でも私の周りには、働かずに嫁に行くお嬢さんがたくさんいます」と言い切る。

「家事手伝いといっても、家事をするわけじゃない。マナー、アート、乗馬、英会話、テニス、ゴルフのレッスンに行かなければならないし、英語ができるから私の仕事に同行してもらったこともあった。クライアントからの要望を書類にしたり、いろいろやることはあるんです。娘が23歳の時に、親子3人でアラスカに行けたのも、会社勤めをしていないからです。こういうおうちはたくさんあり、みんなそれなりのところに嫁に行って、専業主婦をしていますよ」

しかし、娘は家にいる。なぜ、嫁に行けなかったのだろうか。

「娘は読者モデルっていうの? ああいう活動をしていたんです。私たちの世界は、名前と顔を出して、外に出ることを嫌う。娘は目立ちたがりだから、いろんなパーティに呼ばれてはホイホイ出て行っていた。そういうことをするから、いろんな縁談がダメになってしまった」

娘の写真を見せてもらうと、目が大きくあごが尖っている、人目を引く美貌の持ち主だ。背がすらりと高く、幾何学模様のプリントで知られるハイブランドのワンピースを着こなしている。手足が細いのに、バストはグラマラスで男性から誘われそうだ。

「門限は23時なんだけれど、まあ夜中に帰ってきたこともありましたよ。一度“この人と結婚したい”となよなよした男を連れてきたことがあった。私が“娘を専業主婦にできるのか?”と聞いたら、“できません”と即答した。お話にならないよね」

【プライドばかりが高くなり、働く気がない娘は、病床の妻にもわがまま放題~その2~に続きます】

取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。

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