【娘のきもち】孫は“子どもの子”なだけ？本音を隠した親子関係では孫への愛情は育たないのか～その２～
孫に会いたがらない両親。まだ期待している自分がいた
理恵さんは第２子にも恵まれ、夫婦仲も良好。すっかり父親の存在を思い出さなくなった時、父親の期待だった２番目の弟の結婚式で久しぶりに父親と再会することになります。
「その時も私たち家族のことはまったく見えていないようでした。私も揉めたくないし、イライラしないようにできる限り関わり合いにならないように努めました。主役の弟に迷惑をかけたくなかったですから。
でも結婚式で見せつけられたのは、私よりもうまくいっている父と弟の関係でした。私が祝福を受けなかった結婚を、弟は祝福されている。父は薄っすらと涙を浮かべているようにも見えて、この人は子どもにこんな態度を見せるんだって初めて知りました。心から祝いたかったのに、弟のことが妬ましく感じてしまって、式が終了次第早々に帰りました。あの場所に居たくなくて逃げ出してしまったんです」
その後は孫を母親に合わせるという名目で何度か実家に連れて行ったことはあると言いますが、理恵さんが自ら行動していることで両親から孫に会いたいという言葉は聞いたことがなかったそう。その部分に少なからず不満が募っていたこともあり、関係が良好だと思っていた母親とぶつかってしまいます。
「『孫がかわいくないの？』って怒ってしまったんですよね。父親には諦めがあったんですが、母親も同じ対応だったことに我慢できなくて。母親はそんな私に『簡単に会いたいと言っていいのかわからない』と言いました。私は父親との関係がこじれてしまっているだけだと思っていたのに、母親とも本音で話せなくなっていたことに気づきました。私は父親の悪口を母親に言うことはありませんでした。その悪口が、ずっと父親を優先してきた母親の負担になると思ったからです。でもそれが母親と娘の距離をあけてしまったのかもしれません」
最後に、理恵さんとご両親の現在の関係を聞いてみました。
「今も行事ごとには実家へ孫を連れて行っています。数年前に夫の母が亡くなり、あの子たちの祖父母は私の両親しかいなくて、そこはうまくいってほしいという思いがあるからです。母親とは定期的に連絡を取っているんですが、その電話では孫の様子を聞いてくれます。でも、それさえも気を遣われているのかなって思ってしまいますね。本当に心が狭いんですが、両親は弟の子どもともそこまで親密な付き合いはしていないようなので、少しホッとしています。この感情を抱くたびにまだ両親との関係を諦められていない自分にもやもやしてしまうんですがね……」
取材・文／ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社２社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。
