取材・文/ふじのあやこ

家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ

今回お話を伺ったのは、兵庫県内で2人の子どもを育てている理恵さん(仮名・42歳)。兵庫県出身で、両親と1歳下と3歳下に弟、さらに5歳下に妹のいる6人家族。成績の良い2番目の弟ばかりを気にかける父親だったものの、大学まで出してもらったことに感謝はしていたとのこと。しかし、授かり婚をした理恵さんに父親は容赦ない言葉を浴びせます。

「当時は今みたいに授かり婚に世間は寛容ではなかったことはありますが、挨拶に来た夫と私に父は『恥ずかしい』と言ったんです。私たちのことを怒ることもなく、どこか呆れた様子でした。あれならまだ怒られて追い出されたほうがマシだった。父の中では“結婚してから子どもを作る”という常識を破った私は、ただ恥ずかしい存在だったんでしょう」

結婚の記念に撮った家族写真に父親はいない。父親とぶつかることさえ避け続けた

身重だったこともあり、式を行わずにドレスを着ての撮影だけ行ったそう。理恵さんの母親と妹にはその写真に参加してもらったと言います。

「弟たちには来てほしかったけど、無理に呼びませんでした。父親には写真撮影のことさえ伝えていません。母親に言わないでと頼みました。私に、というより二度と夫に父親の呆れ顔を見せたくなかったんです。夫は最後まで父親を呼ぼうと言ってくれましたけど。

夫は母子家庭でお兄さんが1人いましたが2人は地方に住んでいるのでご挨拶のみでした。相手の家族は結婚を喜んでくれていたから、余計に父親の存在が恥ずかしかったのかもしれません」

その後、理恵さんは無事女の子を出産。母親のサポートを受けますが、父親は子どもが生まれてから一度様子を見に来たのみだったそうです。

「妊娠中は里帰り出産はしたくなかったので、母親が様子を見に何度も来てくれていました。子どもが生まれたのは平日の朝方だったんですが、父親はその日の仕事帰りに寄っただけで、その後は一度も病院にも来なかったし、私から実家に寄ることもありませんでした。母親はしきりに『お父さんも気にしている』と言っていましたが、母親なりの気遣いで本当のことだとは思っていません。こんな気遣いを母親にさせてしまうほど、関係は衝突することもなく壊れていきました」

【次ページに続きます】

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