文・石川真禧照(自動車生活探険家)

若者の車離れが声高に語られるなか、変わらず高い支持を集め続けている車がある。誕生50周年を迎えたシビックである。様々なタイプのシリーズがまもなく出揃い、新たなブームの到来さえ予感されるのだ。

20代と50代の購入者が多い11代目。サイドミラーがドアの前部に移されたのでナナメ前方の視界が良くなった。車体色は5色用意。

1972年(昭和47)に軽自動車と上級小型車の間を埋めるため開発されたホンダのシビックが、今年で誕生50周年を迎えた。初代は創業者で、当時の社長だった本田宗一郎が、英国車に興味を持っていたこともあり、英国の小型車「ミニ」に似た形をしていた。

当時のホンダ車はオートバイやフォーミュラ1(F1)など世界のレースで活躍し、若者の憧れだった。初代のシビックは車両価格50万円台で販売された。この時代といえば、戦後生まれの若者が社会人となり、何年か経過した頃。ボーナスなどで車を購入することもできる年代だったので、シビックはたちまち販売台数を伸ばし、若者に随一の人気となった。

以来、歴代シビックは世相に合わせた改良を繰り返している。近年はSUV(多目的スポーツ車)に人気の座を譲ってはいるものの、人気復活の時を待ち、開発担当者たちは時代を見据えたモデルチェンジを行なってきた。

SUVとは一線を画す5ドア

先代のハッチバックより全長とホイールベースは35mm長くなり、全高は20mm低くなった。

11 代目となるシビックは、車体はやや大きくなり、小型車とは呼べない大きさになった。しかし、SUVとは一線を画す5ドアクーペは、かつての初代シビック世代の人たちも熱くさせる車となって、甦ったのだ。

今回、試乗したモデルは、1.5Lのガソリンターボエンジンを搭載した上級車種。シビックにターボエンジンが採用されたのは先代からだ。ターボ用に調整されたエンジンは1500回転あたりからアクセルペダルとの同調が素早くなり、高回転域でもうなり音が抑えられている。スポーツ性と静粛性を両立させたのだ。

スッキリとした前方視界。操作系は中央部にまとめるなど人間工学を重視したデザイン。
新世代の“つながる技術”はスマホを操作することで7種類以上の項目を利用できる。
試乗車は無段変速CVT車だったので3種類の運転状況を選べた。他に6段手動変速もある。
先代から搭載された1.5Lのガソリンターボエンジンは横置きで、前輪を駆動する。

高性能型のスポーツ車も投入。車好きの支持が久し振りに高い

クーペのようななだらかな尾根から車体後部のデザインが美しい。全長、全高、ホイールベースは変更されたが全幅1800mmを堅持。

11代目が発売されてから約1年が経過し、新たに駆動用と発電用の2基のモーターを搭載する「e: HEV」というハイブリッド車が加わった。さらに今年中に「タイプR」という高性能型のスポーツ車も投入され、シリーズが出揃う予定だ。かつてのシビック人気が再び到来するかもしれない。

昨年8月に発売された新型は、発売1か月で月間販売計画台数(1000台)の3倍以上の受注があった。その後も順調に販売は伸びているというが、内訳を聞いて驚いたのは、購入者の年代だ。50代が2割強というのは、かつてのシビック世代が戻ったのだろう。だが、数字上さらに多いのは20代の若者なのだ。

また、新型には6速手動変速機構の仕様もあるが、これも4割近く売れている。もちろん50代も20代もマニュアル比率は高い。

若者の車離れが進んでいるというが、シビック購入者の年代別、変速機別の動きを見ると、車好き世代の50代と同じ傾向だ。SUVやRVに力を入れていたホンダだったが、久し振りに車好きのための新型車を開発してくれた。それが50周年の節目に行なわれたのがファンには堪らなく嬉しい。

前席は高めにしてもドア上縁に頭はぶつからない。
後席の着座位置はやや低め。顔の横に支柱がある。快適なのは身長165㎝まで。
車体後部の荷室。上部のカバーは左右に巻き取る方式。後席背もたれは6対4で前倒。

ホンダ/シビック EX
全長×全幅×全高:4550×1800×1415mm
ホイールベース:2735mm
車両重量:1370kg
エンジン:直列4気筒DOHC/1496cc
最高出力:182PS/6000rpm
最大トルク:24.5kg-m/1700〜4500rpm
駆動方式:前輪駆動
燃料消費率:16.3km/L(WLTCモード)
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン 47L
ミッション形式:無段変速AT(7速手動変速機構付き)
サスペンション:前:ストラット式 後:マルチリンク式
ブレーキ形式:前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク
乗車定員:5名
車両本体価格:353万9800円
問い合わせ先:お客様相談センター電話:0120・112010

文/石川真禧照(自動車生活探険家)
撮影/佐藤靖彦

※この記事は『サライ』本誌2022年9月号より転載しました。

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