「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努⼒をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶⼒の鍛錬につながると⾔われています。
「脳トレ漢字」今回は、「等閑」をご紹介します。似たような言葉があったな、と思い出しながら漢字への造詣を深めてみてください。

「等閑」は何と読む?
「等閑」の読み方をご存じでしょうか?
正解は……
「なおざり」です。
『小学館デジタル大辞泉』では「いいかげんにしておくさま。本気でないさま。また、放置するさま。おろそか。ほどほどで、あっさりしているさま」とあります。「とうかん」とも読みます。
「等閑に付す」という慣用句で聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? 「気にかけず、放っておくこと」という意味ですね。これを訓読みにすると「なおざり」になります。
「等閑」の由来
「等閑」の由来は諸説ありますが、「なお」(直)+「さり」(去り)が変化して「なおざり」になったといわれています。ここでの「なお」(直)は、「そのまま」「何もしないで」という意味。「さり」(去り)は、通り過ぎる、放置するというニュアンスです。
つまり、「何も手を加えないで、そのままにしておく」というのが、本来の「なおざり」の意味なのです。
一方、漢字の「等閑」は中国からの借用です。
「等」は、等級や順位を表す言葉でもありますが、「~など」というように複数を並べる際にも使われます。「閑」は、門構えの中に木と書くことからも分かるように、しきい(区切り)のある空間、転じて「ひま」や「静けさ」を表します。
物事を「閑」(ひま)なことと「等」しく扱う、つまり「重要ではないものとして扱う」という意図から、この漢字が当てられたと考えられています。
「なおざり」と「おざなり」の決定的違い
よく似た言葉に「おざなり」がありますが、「おざなり」は漢字で書くと「御座形」あるいは「お座なり」となります。この二つ、響きも意味も似ていますが、実は明確な違いがあるのです。
等閑(なおざり): 何もしないで放置すること。
御座形(おざなり): その場しのぎで、いい加減な対応をすること。
違いがお分かりでしょうか?
「おざなり」の語源は「お座」(座敷・宴席)+「なり」(形・体裁)です。宴会の席などで、とりあえずその場の形だけ整えておく、というところからきています。つまり、質は悪くても「何かはしている」のです。
対して、「等閑」は前述の通り「そのまま去る」わけですから、「何もしていない」のです。

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いかがでしたか? 今回の「等閑」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 忙しい現代社会、つい大切なことを等閑にしてしまいがちですが、言葉一つひとつ、人一人ひとりと丁寧に向き合う姿勢を忘れないでいたいものですね。
来週もお楽しみに。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com











