新着記事

藤井聡太の挑戦状!さあこの詰将棋、解けますか?

文/編集部プロにとってもアマチュアにとっても、将棋の棋力アップに欠かせないのが「詰将棋」です…

【懐かしの母校食堂 第3回】武蔵高等学校中学校×好々亭と砂時計(東京・江古田)

文/鈴木隆祐武蔵生のソウルフード!江古田の洋食2大名店『好々亭』と『砂時計』 …

ウォーキングシューズを選ぶ時に気をつけたい3つのポイント

取材・文/わたなべあや春の日差しが温かく感じられる季節、外に出て体を動かしたくなりま…

前田利家の妻・芳春院まつの知られざる素顔【にっぽん歴史夜話3】

文/砂原浩太朗(小説家)加賀百万石の礎をきずいた武将・前田利家(1537?~1599)。その…

【夕刊サライ/コウケンテツ】「世代へ受け継ぐ味」一人前になるために、つくり続けたナムル(コウケンテツの料理コラム 第7回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。金…

巨大な一枚岩「ウルル」を見上げる2つの絶景遊歩道【オーストラリア・ノーザンテリトリーの魅力】[PR]

文/柳沢有紀夫(オーストラリア在住)世界の中心は、どこにあるのか? もちろん地球はほ…

京都・上賀茂神社でクラシック音楽を聴く「都のかなで」コンサートに2000名を招待[PR]

京都で最古のお社といわれ、世界文化遺産に登録されている「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」。この由…

病気予防の大ヒント!病気の発症・増悪をもたらす5大要素とは【予防医療の最前線】

文/中村康宏そもそも、どのようにして病気になるのか考えたことはありますか? 病気になる人の体…

【夕刊サライ/角田光代】スペイン・マドリッド:マラソンは旅するいいわけ【旅ラン3】(角田光代の旅行コラム 第7回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。木…

林忠彦と土門拳、写真界の巨匠2人が作品対決!《昭和の目撃者 林忠彦vs土門拳》展

文/編集部ともに戦前に報道写真家として出発した林忠彦(はやし・ただひこ、1918~1990)…

サライ最新号

ピックアップ記事

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

逸品

肉桂餅 |南蛮文化が花開いた堺随一の銘菓【老舗銘菓ものがたり】

取材・文/鈴木拓也

『肉桂餅』

日本が戦乱のさなかにあった1543年、種子島に1隻の船が漂着し、日本人とヨーロッパ人が初めて邂逅した。それから10年もしないうちに、スペインからフランシスコ・ザビエルがキリスト教の布教で来日。上陸したのは鹿児島であったが、布教の拠点として注目したのは堺であった。

ゴアの神父に宛てたザビエルの手紙には、堺が裕福な商人の町であり「他のいかなる日本の地方もおよばないくらいに、そこへ金銀が流れこんでいる」と記している。琉球や中国(明)との貿易で繁栄の礎を築いていた堺は、ヨーロッパの人たちから見れば、まさに「ジパング」(黄金の国)であった。そして堺は、南蛮貿易によってさらに発展してゆく。

南蛮貿易で堺の港に水揚げされた品のなかには、菓子もあった。キリスト教の伝道師たちは、民衆に「かすていら、ぼうる、かるめひる、あるへい糖、こんぺい糖」(『太閤記』)といった菓子を配って布教したことで、南蛮菓子はまたたく間に広まってゆく。

南蛮貿易では、香木や薬草の類も堺に入ってきたが、その1つ「肉桂」(ニッキ)に目をつけた貿易商人がいた。名は八百屋宗源といい、薬として輸入されてきた肉桂の独特の香りに惹かれた。南蛮菓子が流行していることだし、これを菓子の素材に用いれば、人気を得るのではないかと、餅に練り込んだ。これが今に伝わる銘菓『肉桂餅』の始まりとなる。

『肉桂餅』の製法は、子孫へと伝えられ、文化文政年間に菓子商として八百源が創業したさいは、これを改良したものが軒先に並べられた。『肉桂餅』は、堺の町民の間で評判を呼んで、ほどなく堺有数の銘菓となり、その地位は今でも不動である。

現代の『肉桂餅』も、肉桂の粉末を練り混ぜた求肥でこし餡を包み、片栗粉をまぶした、代々伝わる姿をとどめている。香りはほのかながらも肉桂独特の爽やかさがあり、口に入れると柔らかな求肥がたちまちとろけ、こし餡と混じり合う。

肉桂の風味がこし餡の甘味と巧みに調和し、甘さは余分に後を引かない。堺は千利休の出身地としても知られるが、今も茶の湯の席のお茶請けとして使われているというのも頷ける。

肉桂を用いたもう1つの菓子に『肉桂楽』(にっきらく)がある。これは、ポルトガルから伝わった代表的な菓子のカステラに肉桂を加えたもの。第6代となる現当主の岡田巧さんが試行錯誤を経て生み出した、新たな看板菓子である。普通のカステラより、やや茶色がかっているのが見た目の特徴だ。

『肉桂楽』

こちらは、肉桂の風味は主張しすぎないながらも、一口食べるたびにその余韻がかすかに残り、いつものカステラとはまた違った上品な味わいに仕上がっている。

製造元である八百源のウェブサイトには「肉桂の香りは脳の機能を活性化させ、気持ちを落ち着かせてくれます」とある。頭や心が疲れたときの一服にいかがだろう。

『八百源来弘堂本店』
住所:大阪府堺市堺区車之町東2丁1-11
電話:072-232-3835
公式サイト: http://yaogen.shop-pro.jp

文/鈴木拓也
2016年に札幌の翻訳会社役員を退任後、函館へ移住しフリーライター兼翻訳者となる。江戸時代の随筆と現代ミステリ小説をこよなく愛する、健康オタクにして旅好き。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. 湯沢屋のまんじゅう |日光詣の参詣客をうならせる酒饅頭【老舗銘菓…
  2. 來間屋生姜糖 | 出雲名産・出西生姜の風味が活きる300年変わら…
  3. 鶴屋の丸房露|大隈重信も激賞した銘菓【老舗銘菓ものがたり】
  4. 藤屋内匠の「湖水月」|琵琶湖の満月を表した銘菓(大津)【老舗銘菓…
  5. 備後福山『虎屋本舗』の名物「虎焼」【老舗銘菓ものがたり】
PAGE TOP