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降旗康男監督と高倉健が組んだロードムービー『あなたへ』【面白すぎる日本映画 第31回】

『あなたへ』

文・絵/牧野良幸

今回は5月に惜しくも亡くなった降旗康男(ふるはた・やすお)監督の作品を取り上げてみたい。高倉健主演の『あなたへ』だ。

降旗監督は高倉健と組んで、数々の映画を製作してきた。そのなかには『駅 STATION 』『鉄道員(ぽっぽや)』などヒューマニズムあふれる作品も多い。

2012年に制作された『あなたへ』もヒューマニズムあふれる作品だ。これが高倉健にとって最後の主演作でもある。

高倉健が演じるのは、富山の刑務所で働く指導教官の倉島英二。映画は刑務所の全景を映したあと英二の回想シーンで始まる。妻の洋子(田中裕子)がまだ生前に、ベランダの風鈴に息をあてて鳴らしているシーンである。

風鈴の音を聞いた英二は、妻に言う。

「いい~音!」

この高倉健の言い回しが、いきなり素敵である。滲み出る素朴さが高倉健の魅力のひとつと思うけれども、同時に健さんなりの“人なつっこさ”が滲み出ていて、早くも、健さん、いいなあ、と思ってしまうのだ。

話を進めよう。ある日、英二のもとにNPO法人“遺言サポートの会”のスタッフが訪れる。洋子が死ぬ前に預けていた英二宛の手紙を持参したのだ。一枚の手紙には、灯台と小鳥の絵。そこにはこう書かれていた。

“あなたへ 私の遺骨は故郷の海へ撒いて下さい”

そしてもう一枚の手紙は英二には直接渡されず、洋子の故郷である平戸の郵便局留めに送ると言う。英二がそこに行き受け取ってほしい、というのが妻の意思だった。

洋子の真意は分からなかったが、英二は指導教官の職を辞して平戸に向かうことにした。洋子の残したもう一通の手紙を受け取るために、また洋子の遺骨を故郷の海へ撒くために。

旅に使うのは車内で衣食住ができるよう改装したワンボックスカーである。洋子の生前に二人で旅をしようと改装していた車だ。これを完成させると英二はひとり富山を出発した。

こうして映画はロードムービーとなる。

英二が出会うのは、キャンピングカーで日本中を放浪する元国語教師(ビートたけし)、物産展に出店している二人(草彅剛と佐藤浩市)、到着した平戸の漁港では、食堂を営む母(余貴美子)と娘(綾瀬はるか)など。それぞれ人生に何らかの問題を抱えている人たちだ。

降旗監督は、英二とこれらの人たちとの触れ合いを描くと同時に、妻と出会った頃や元気だった頃の回想シーンを織り込んでいく。車で立ち寄る場所が、生前一緒に訪れたことのある地だけに、現実の世界と回想の世界が溶け合うようで叙情的だ。それでいて、どこかヨーロッパ映画のような趣もある。

平戸の漁港に着いた英二は郵便局留めの手紙を受け取る。そこには飛び立つ小鳥の絵とともに、こんな妻の言葉があった。

“さようなら”

こうして英二は、漁師(高倉健と同じく、この映画が遺作となった大滝秀治)の助けを得て、洋子の遺骨を海に撒くことができた。その夜、港で一人海を見つめる英二。“あなたには、あなたの時間が流れている”、妻はそう英二に伝えたかったのかもしれない。

映画のエンディング・ロール、関門海峡をバックに歩く健さんの顔がいい。僕も健さんと一緒にワンボックスカーで旅をしてきたような、心地良い気分だ。

それにしても、華やかな共演者たちの印象は強いが、やはり物静かな英二を自然体で演じた高倉健の存在感は大きい。

それは降旗監督にも言えて、英二が旅をしていく飛騨高山、京都、大阪、竹田城、北九州の門司、平戸など、風光明媚な風景を映しつつも、さりげない日常の風景として組み込むことも忘れてはいない。そこが逆に印象深かった。降旗康男監督と高倉健の組み合わせでもう一本映画が観たかった、そう思うのは僕だけではあるまい。

【今日の面白すぎる日本映画】
『あなたへ』
製作年:2012年
製作・配給:東宝映画・東宝
カラー/111分
キャスト/高倉健、田中裕子、佐藤浩市、草彅剛、余貴美子、綾瀬はるか、三浦貴大、大滝秀治、長塚京三、原田美枝子、浅野忠信、ビートたけしほか
スタッフ/脚本:青島武 監督:降旗康男 音楽:林祐介

文・絵/牧野良幸
1958年 愛知県岡崎市生まれ。イラストレーター、版画家。音楽や映画のイラストエッセイも手がける。著書に『僕の音盤青春記』『オーディオ小僧のいい音おかわり』(音楽出版社)などがある。ホームページ http://mackie.jp

 

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