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  1. オリックス・リビング社長、森川悦明氏。「グッドタイム リビング センター南」にて撮影。

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最高峰は「JR東日本 東京近郊路線図」|「路線図」愛好家が教える鑑賞ポイント

文/鈴木拓也

ふだん何気なく見ている路線図。大半の人にとっては、自分が行きたい駅と運賃を確かめるための存在にすぎないだろう。

そんな路線図そのものに関心をもち、こよなく愛でる日々を送っているのが、フリーライターの井上マサキさんと西村まさゆきさんだ。
「現実世界を表現しながらも、現実そのままを映していないところ」に路線図の魅力を感じるという。

そう言われてみれば、地理的な正確性は問わず、見やすさ・分かりやすさ優先でデフォルメされた路線図は、ある種のアート性が醸し出された「作品」のように思えてくる。

全国各地の路線図を見てきたお二方は、「デイリーポータルZ」などの媒体に関連記事を寄稿するほか、集大成として『たのしい路線図』(グラフィック社)という書籍も出している。

今回は本書にある数々の路線図の中から、路線図愛が芽生えそうな「作品」をいくつか紹介したい。また、井上さんからは鑑賞ポイントも教えていただいたので、これから路線図鑑賞を始める際の参考にしてほしい。

■JR東日本 東京近郊路線図(車内掲出版)
R東日本 東京近郊路線図(車内掲出版)(画像出典:JR東日本ウェブサイト)

東京人にはなじみ深い、首都圏の定番ともいえる路線図。40近くもある路線を、見やすさを損なわずここまでコンパクトにまとめたという点で、路線図の最高峰となるかもしれない。

●井上さんが教える鑑賞ポイント
「湘南新宿ラインや上野東京ラインなど、乗り入れが増えるたびに路線を追加して対応してきたJR東日本の路線図。このたび山手線の新駅の名称が「高輪ゲートウェイ駅」に決まり、この長い駅名をどうやって品川と田町の隙間に入れ込むのか、今から注目しています」

■JR四国 路線図
JR四国 路線図(画像出典:JR四国ウェブサイト)

四国の鉄道を利用したことがない人には、まずJR四国の鉄道網が、四国の大半をぐるっと一巡りできることに驚かれるのではないだろうか? その意味でインパクトの高いのがこの路線図だ。

●井上さんが教える鑑賞ポイント
「限られたスペースにいかに路線図を収めるか、その創意工夫を楽しむのも路線図鑑賞の醍醐味。JR四国の路線図は、四国が丸みを帯びた形にデフォルメされ、まるで左を向いた犬のよう。右側にちょっとはみ出たJR鳴門線が尻尾のようにも見えますね。海側へ放射状に伸びた駅名は、なんだかトゲトゲしていて持つと痛そうです」

■福岡市地下鉄
福岡市地下鉄(画像出典:福岡市地下鉄ウェブサイト)

福岡市地下鉄の路線図は、各駅をシンボルマークで表す「シンボルマークシステム」を日本で初めて採用したことで知られる。例えば、姪浜駅のシンボルは「ヨット」だが、これは駅からヨットハーバーを臨めることから。路線図自体も曲線を多用しているのが、比較的珍しい。

●井上さんが教える鑑賞ポイント
「シンボルマークをデザインしたのは福岡県出身のデザイナー・西島伊三雄氏と、長男の西島雅幸氏。路線図にしては珍しく、湾や川の形状が細かく書き込まれているのもポイント。地形を書き込むことで、駅の位置関係を把握できる効果もあります。東京なら皇居、大阪なら淀川がその役割を果たしています」

■京王電鉄
京王電鉄
(画像出典:京王電鉄ウェブサイト)

数路線・系統を束ねてすっきり見やすくカラフルな路線図は、本書では「レインボー路線図」と呼ばれている。レインボー路線図は、東西大都市圏の路線でよく見られるタイプで、京王電鉄は出色の出来栄え。

●井上さんが教える鑑賞ポイント
「特急や区間急行など、数多くの列車種別がある私鉄ならではの「レインボー路線図」。どんな色を配色するか、乗換駅の表現はどうするかなど、鉄道会社によって描き方が異なるポイントがあります。京王電鉄は中間色を配置し、丸みを帯びたカーブが特徴。赤みが無くなった都営新宿線に、都営大江戸線が彩りを添えます」

■津軽フリーパスエリア 弘前駅周辺
津軽フリーパスエリア 弘前駅周辺(画像出典:『たのしい路線図』118p、JR東日本新青森駅にて2016年撮影)

駅には公式の路線図だけではなく、乗客のニーズに応じて駅員が手づから作り上げた、いわば「DIY路線図」もある。上の例は、青森県津軽地方を巡る「津軽フリーパス」エリアの弘前駅周辺の見どころと最寄り駅が描かれたもの。

●井上さんが教える鑑賞ポイント
「駅員さんが作った路線図には、複雑な乗り換えなどを説明する『案内』と、周辺のお出かけスポットを網羅する『観光』の2種類に分かれます、特に観光目的のものは、『どこを見てほしいか』によって情報量や表現が異なるのが見どころです。りんご公園や田んぼアート駅など、地元情報のピックアップに弘前への愛を感じますね」

*  *  *

いかがだったろうか? もともとディープな鉄道趣味に「路線図鑑賞」という新たな地平が開かれ、これからの鉄道の旅がより面白くなることうけあい。ひとまず本書に網羅された路線図をながめ、旅情をかきたててみよう。

【今日の教養を深める1冊】

『たのしい路線図』

http://www.graphicsha.co.jp/detail.html?p=37881
(井上マサキ、西村まさゆき著、本体1,600円+税、グラフィック社)
『たのしい路線図』

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。

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