文/安藤政弘
スイス時計の伝統を受け継ぎながら、創業時より150年にわたり、革新性の満ちたタイムピースを作り続けるウォッチメゾンが、「IWC」(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)です。日本では長く「インター」の愛称で、時計愛好家に親しまれてきましたが、高級機械式時計が人気となった2000年代以降は、ビジネスパーソンにも愛用者も増えています。IWCの定番から、おすすめの5本を紹介していきましょう。
IWCは、アメリカ・ボストン出身の時計職人フローレンス・アリオスト・ジョーンズと、職人であり実業家でもあるヨハン・ハインリッヒ・モーザーにより、ライン川の辺りに広がる、時計製造の盛んなスイス・シャフハウゼンで、1868年に創業されました。
アメリカ市場を意識した懐中時計を中心に製造し、1885年に発表した、時間と分を、回転ディスクにある数字で表示する「パルウェーバー・ポケットウォッチ」で一躍、世界でその名が知られるようになりました。1915年には腕時計の製作をスタートさせ、傑作ムーブメントの誉れ高い”キャリバー83”などを開発しました。1930~40年代に入ると軍用の「パイロットウォッチ」や、「ポルトギーゼ」をリリース。1955年には磁力からムーブメントを守る耐磁時計「インヂュニア」、1967年にはダイバーズモデル「アクアタイマー」と、現代に受け継がれるスタンダードを次々に発表し、IWC独自の、実用性から生まれるシンプルな機能美と独創的な技術は広く認知されることとなります。
その後は長年ポルシェデザインの時計開発を手掛け、メルセデスAMGとのコラボを発表するなど、積極的に新しい腕時計の提案を進めていきました。また、スイスが認可する職人育成のライセンス「オルロジェ・コンプレ」を保有する唯一の時計メーカーでもあり、時計製造だけではなく、時計職人の養成学校も運営。複雑時計からプロフェッショナルウォッチまでを生んだ伝統的な技術は着実に継承されています。
「IWCは世界中で人気があり、当店のベストセラー『ポルトギーゼ クロノグラフ』は、海外からわざわざ買いに来る方もいます。『パイロットウォッチ』や『ポートフィノ』もよく売れています。定番以外のモデルも、時計ファンを中心に、反応がいいですね」(東京・中野の並行輸入時計店「かめ吉」担当者)。新しい年を、品格と機能美を兼備したIWCの名品でスタートしてみてはいかがでしょうか。
【IWC】
IWCを代表するベストセラー
ポルトギーゼ クロノグラフ
Ref.IW371446 70万9280円
バリエーション豊富な「ポルトギーゼ」コレクションの中で最も人気のある、ストップウォッチ機能が付いたクロノグラフ。リーフ型の時分針やアラビア数字のアップライト・インデックスがバランスよく配置された品のある文字盤デザイン。そして、手首にぴったりフィットする直径41mmのケースも選ばれる理由になっています。ビジネスでもプライベートでもシーンを選ばず、いい時計を控えめにつけられる代表的な1本といえるでしょう。ケース素材はステンレスチール。レザーベルト。自動巻き。日本定価81万5400円。