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選評/林田直樹(音楽ジャーナリスト)

生前はクラシック音楽界の帝王カラヤンの最大のライバルとして知られ、音楽家としての良心からスタジオ録音を否定する立場をとっていたルーマニア出身の大指揮者セルジュ・チェリビダッケ(1912〜96)が亡くなってから、22年がたつ。

その間、数多くの放送用ライヴ録音が次々とCD化されたが、その中には今回初発売された『ラヴェル:ダフニスとクロエ、ラ・ヴァルス、クープランの墓』のような、抜きんでた見事な記録もあり、やはりご紹介しないわけにはいかない。

オーケストラと合唱が織りなす「ダフニスとクロエ」の異様な響きは、あたかもこの世の果てから聞こえてくる、非日常的な神話世界へのいざないのようである。

羽毛で撫でるような弱音から始まる妖艶な「ラ・ヴァルス」、精妙で生気にあふれた「クープランの墓」。鍛え抜かれたミュンヘン・フィルのアンサンブルの、何と純度の高いハーモニーだろう。耳が洗われるとはこのことだ。>>試聴はこちらから

【今日の一枚】
ラヴェル:ダフニスとクロエ(第1組曲、第2組曲)、ラ・ヴァルス、クープランの墓
セルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル

発売/ワーナーミュージック・ジャパン 
電話:03・6372・0999
2800円

文/林田直樹
音楽ジャーナリスト。1963年生まれ。慶應義塾大学卒業後、音楽之友社を経て独立。著書に『クラシック新定番100人100曲』他がある。『サライ』本誌ではCDレビュー欄「今月の3枚」の選盤および執筆を担当。インターネットラジオ曲「OTTAVA」(http://ottava.jp/)では音楽番組「OTTAVA Salone」のパーソナリティを務め、世界の最新の音楽情報から、歴史的な音源の紹介まで、クラシック音楽の奥深さを伝えている(毎週金18:00~22:00放送)

※この記事は『サライ』本誌2018年12月号のCDレビュー欄「今月の3枚」からの転載です。

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