選評/林田直樹(音楽ジャーナリスト)
擬人化された動物が活躍する、子供向けのユーモラスなアニメーション映画は、カートゥーンというジャンルにくくられるが、そこには新しいオーケストラ音楽の可能性も秘められていた。アニメーションの動きに徹底的に音楽を寄り添わせることによって、変幻自在な展開が生まれるからだ。
『華麗なるカートゥーン&ミュージカルの世界』は、古今のアニメ用の優れた音楽を集め、さらには「美女と野獣」「屋根の上のヴァイオリン弾き」「レ・ミゼラブル」などの名作ミュージカルの音楽も加えた1枚である。ただBGMとして耳を傾けているだけでも、部屋の中が楽しさいっぱいになってくる。
特筆すべきは特典DVDの「トムとジェリー」(主に1940年代の製作)で、アカデミー賞受賞3作品を含む8作品はどれも、大人の鑑賞に堪えうる芸術性がある。もし機会があればぜひ、小さな子供と一緒に楽しみたい。>>試聴はこちらから
【今日の一枚】
華麗なるカートゥーン&ミュージカルの世界
竹本泰蔵指揮日本フィルハーモニー交響楽団
発売/キングレコード
電話:03・3945・2123
3241円
文/林田直樹
音楽ジャーナリスト。1963年生まれ。慶應義塾大学卒業後、音楽之友社を経て独立。著書に『クラシック新定番100人100曲』他がある。『サライ』本誌ではCDレビュー欄「今月の3枚」の選盤および執筆を担当。インターネットラジオ曲「OTTAVA」(http://ottava.jp/)では音楽番組「OTTAVA Salone」のパーソナリティを務め、世界の最新の音楽情報から、歴史的な音源の紹介まで、クラシック音楽の奥深さを伝えている(毎週金18:00~22:00放送)
※この記事は『サライ』本誌2018年12月号のCDレビュー欄「今月の3枚」からの転載です。