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JAZZ界の重鎮・後藤雅洋さんがポール・マッカートニーの東京ドームLIVEを観に行ったら……

文/後藤雅洋(ジャズ評論家、ジャズ喫茶いーぐる店主)

10月31日に東京ドームで行われたポール・マッカートニーのライヴを観てきました。私は2015年の東京ドーム・ライヴも観ているので(ちなみに私は1966年のビートルズ初来日公演も観ています)、3年ぶりのポールの変化も興味がありましたが、それ以上に関心があったのは、私が監修している小学館CD付きムック『JAZZ 絶対名曲・コレクション』のビートルズ・ジャズが現在発売中だからです。

TOKYO, JAPAN - OCTOBER 29: Paul McCartney and Nancy Shevell arrive at Haneda Airport on October 29, 2018 in Tokyo, Japan. (Photo by Jun Sato/GC Images)

ジャズ・ミュージシャンがビートルズ・ナンバーを採り上げた、『JAZZ 絶対名曲・ビートルズ号』に収録された名曲のオリジナル(厳密には“ビートルズ”ではありませんが)が聴けるのですから、これは逃す手はありません。

冒頭「ア・ハード・ディズ・ナイト」「オール・マイ・ラヴィング」といった懐かしのビートルズ・ナンバーで観客の注目を集め、ポール独立後のナンバー、新曲と進め、後半再びビートルズ楽曲で盛り上げるという演出は巧いもの。それにしても、巨大な爆発音を伴った炎の演出、派手でしたねえ。

今回のポール・ライヴ、2015年の公演に比べ、ブラス・セクションを伴ったバック・バンドも含め全体にロック色が強くなっており、そういう意味ではまったく別物と言って良く、やはり観た甲斐はありました。率直に言って、「じっくり歌を聴かせる」という意味では前回の方が良かったのですが、ロック・ミュージシャンとしてのポール、あるいはビートルズという視点では、やはり出色のライヴでした。2万円近くの出費でしたが、ソンした気は毛頭ありません。

それにしても2時間半に渡る長丁場、一度も水を飲まないポールは駱駝のように体内に秘密の貯水タンクでも備えているんでしょうかね。これは前回も驚いた点でしたが、あれから3年、ポールだって御年76歳なのにこの気力・体力・耐久力、私のような老人世代は大いに啓発されましたね。もっと筋トレやらなくちゃ。

『JAZZ 絶対名曲コレクション』の監修者としても改めて大きな発見がありました。それは現在発売中のシリーズVol.2『ビートルズ・ジャズ』にも書いたことですが、「スタンダード」として見た場合のビートルズ・ナンバーの色の濃さです。

ビートルズ・ナンバーは言うに及ばず、ポール独立後の楽曲にも、ビートルズ時代との連続性が窺えるのです。楽曲のテイストは2015年のライヴで中心だった「歌で聴かせるタイプ」と今回の「演奏で盛り上げるタイプ」という違いはあるのですが、そのどちらにもポールのあるいはビートルズのカラーが出ているのは大したもの。

最後に『JAZZ 絶対名曲コレクション Vol.2ビートルズ・ジャズ』収録曲と今回のポール・ライヴの重複楽曲を挙げておきましょう。

「All My Loving」リタ・ライス歌唱
「Blackbird」カサンドラ・ウィルソン歌唱
「Elenor Rigby」ウェス・モンゴメリー演奏
「Yesterday」サラ・ヴォーン歌唱

ドームでポールのロックに酔ったみなさん、その「ジャズ版」に興味を持たれたらぜひ『JAZZ 絶対名曲コレクション Vol.2ビートルズ・ジャズ』をご購入下さいね! 監修者として絶対のお奨めです!

文/後藤雅洋(ごとうまさひろ)
1947年東京生まれ。慶應義塾大学在学中の67年、弱冠20歳で東京・四谷にジャズ喫茶『い~ぐる』を開店。2017年に50周年を迎えた。開店以降ジャズ聴取時間は18万時間以上に及ぶ。並行してジャズ評論家としても多数の著作を上梓、講演やカルチャースクール講師としてジャズの魅力を精力的に伝道している。膨大な量に加え、偏向することのないニュートラルなジャズ聴取体験に基づく具体的かつ明晰な文章は、ジャズ・マニアのみならず多くの音楽ファンから圧倒的な支持を得ている。おもな著書は『一生モノのジャズ名盤500』『厳選500ジャズ喫茶の名盤』(ともに小学館)、『ジャズ完全入門』(宝島社)、『新ジャズ名演・名盤』(講談社)ほか多数。

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