家康が作った江戸城をCGで完全再現したサライ・ムック『サライの江戸 江戸城と大奥』の発売にあわせ、はとバスとのコラボで企画された「江戸探訪ツアー」が行なわれました。

今回はその江戸城ツアーの模様と、ツアー後半に昼食としていただいた江戸時代の再現料理をレポートします。

ツアーが行なわれたのは6月17日。日曜日の東京は連日の雨も上がり、かといって太陽が照りつけるでもない絶好の江戸城散策日和。朝9時に東京駅丸の内南口のはとバス乗り場に集合し、いざ江戸城を目指します!

とはいえ、東京駅から江戸城・大手門までは目と鼻の先。バスはあっという間に大手門前に到着し、ここで今回のツアーのガイドでもある東京大学史料編纂所の山本博文教授と合流しました。

東京駅丸の内南口にズラリと並ぶバスの列。この中の1台に乗って出発します。

大手門前で今回のツアーのガイド役である東京大学史料編纂所の山本博文教授と合流。

現在公開されている皇居東御苑は、かつての江戸城でいうところの本丸、二の丸、三の丸にあたります。山本先生を先頭に大手門から江戸城に入った一行は、江戸時代に大名が登城したルートに沿って本丸・天守台を目指します。

江戸城の正門である大手門を通っていよいよ江戸城へ。

大手門を通り、右手に三の丸尚蔵館を右手にしながら進むと、最初に見えてくるのが三の門跡。その奥にあるのが三の門を警護する与力、同心が詰めていた同心番所です。

同心番所。御三家以外の大名は同心番所の前で籠を降りなくてはならなかったとか。

ここで山本先生からこんな問いかけが。

「この先、すぐ近くにもっと大きな百人番所と呼ばれる詰所がありますが、このふたつがこんなに近くにあるのはなぜだか不思議に思いませんか?」

実はこの同心番所、元々は三の門の外にあったそうで、後に移築されたとのこと。

「なんとなく時代を感じる建物だからといって、すべてのその当時のままと思ったらいけませんよ。いろいろと考えながら見てくださいね」と、アドバイスを受けました。

その名の通り最大の検問所だった百人番所の前で。「初めて登城する大名などは、百人番所の前までたどり着いた頃にはかなり緊張していたのではないでしょうか?」と山本教授。

中雀門跡を通って本丸御殿の跡地へ。あの有名な松の廊下の碑もあります。

江戸城の天守は3代目のものが、1657年の明暦の大火によって消失。その後、天守台だけが再建され、天守は再建されませんでした。

現在の天守台は明暦の大火の後、加賀藩によって再建されました。

サライの江戸 江戸城と大奥』に綴じ込まれている江戸城の地図と対照しながら見学するツアーの参加者も。

天守台を後にして、次は汐見坂から二の丸庭園へ向かいます。

二の丸庭園に雑木林。ここが東京のど真ん中ということを忘れさせる。

池の前に広がる菖蒲田。二の丸庭園には現在84品種のハナショウブがあり、5月下旬から6月上旬にかけて開花する。

二の丸庭園を散策した後は、平川門から江戸城の外に出て再びバスへ。

バスは清水門→田安門→千鳥ヶ淵→半蔵門→外桜田門を巡りながら馬場先門跡を過ぎて、楠公レストハウスに到着。ここでツアー後半のお楽しみ、食事タイムと山本先生のミニ講座となります。

ツアー一行がテーブルに着くと、そこに待っていたのは4段重ねの立派なお重。これが江戸時代の料理を再現した「与の重」です。

楠公レストハウスでは、パンフレットとともに四段重ねのお重がお出迎え。

まずは宝酒造のスパークリング清酒「澪」で乾杯し、さっそく「与の重」をいただきます。しかも今回はこの「与の重」を再現した楠公レストハウスの安部憲昭総料理長による解説付きです。

宝酒造のスパークリング清酒『澪』で乾杯。このツアーでは、『澪』『澪』<DRY>の2本がお土産としてもらえました。

「与の重」を解説する楠公レストハウスの安部憲昭総料理長。今回は特別に江戸時代のお菓子も再現してもらいました。

「与の重」は、江戸の料理書などに載っている庶民にとっての特別なハレの日、行楽向けの献立を参考に現代の食材を使いながら、当時の料理の特徴を再現したものだとか。

見た目にも美しい「与の重」。ハレの日の献立だけあって、なかなか豪勢です。

重箱を開けると、青菜やウニ、黒ゴマなどのみそを豆腐に塗った五色田楽、茹でて薄い赤色になったタコのあしの薄切りを桜の花に見立てた季節のごはんなど、見た目も華やかな世界が広がります。

変わっているのは、お刺身の食べ方。なんとお刺身は、醤油とワサビではなく、酒に梅干し、かつおぶし、昆布を入れて煮た「煎り酒」とねりからしでいただきます。江戸時代の調味料である「煎り酒」は、かつおだしに似て、甘みとうまみが刺身にからみます。

また「江戸前」の魚介の天ぷらは、屋台でも売られていた庶民の味。芝エビの天ぷらは、味をつけた衣で揚げているので、天つゆなどつけずにそのまま食べておいしく、香ばしさが印象的でした。そして黄色くかわいらしいかすてらたまごは、卵と小麦粉などを混ぜている厚焼き玉子で、ふんわりと甘く菓子パンのよう。

笹で巻いたおぼろ大根は、香りは大根なのに弾力があって意外な食感。味噌汁は、甘めでまろやか。これは江戸時代の味噌は麹が多く、塩分は控えめだったためだとか。全体的に上品な味つけで、食感が豊か。手の込んだ料理が多く、おいしさに驚かされました!

この「与の重」、予約をすれば一般の方でも体験できますが、このツアーが特別なのは、安部憲昭総料理長が特別に再現した江戸時代のお菓子が食べられることなのです! 今回は特別に「かすてらいも」と「くじらもち」が用意されていました。

これが今回の隠し球、「かすてらいも」(左)と「くじらもち」(右)。

「かすてらいも」は口の中でほろほろと崩れる食感にびっくり。「くじらもち」は、くじらの肉の黒い皮と白い脂を模したお菓子で、ういろうに似てもっちりとして甘く、食べ応えがあります。全国各地に同名のお菓子がありますが、江戸っ子は“見立て”が好きで、好まれたとか。

食事の後は、「和酒」の宝酒造による日本酒講座と日本酒の試飲と盛りだくさん。最後はお待ちかね、山本博文教授のミニ講座と続き、ツアーは終了しました。

宝酒造が考える伝統と革新の酒造りをわかりやすく説明してくれた宝ホールディングス株式会社環境広報部 副部長新村真仁さん。

松竹梅「白壁蔵」<純米大吟醸>、<生酛純米>、<大吟醸>無濾過原酒の3つを試飲しました。

今回のツアーのガイド役、東京大学史料編纂所・山本博文教授。江戸時代の日本酒のお話に始まり、「江戸城大奥の世界」をじっくり解説していただきました。

この「江戸探訪ツアー」は、あと2回、8月18日(土)と10月28日(日)に行なわれますが、8月の分はすでに満席。残りは10月分は3か月前からの発売となりますので要チェックです。

はとバスホームページはこちら

最後に今回のツアーがもっと楽しめるサライ・ムック『サライの江戸 江戸城と大奥』も好評発売中です。

(取材・文/編集部 撮影/向井 渉)

『サライの江戸 江戸城と大奥』
サライ編集部/1,700円/中A4判/128ページ
2018年6月5日発売
ISBN 978-4-09-103553-0

試し読みできます!
↓↓↓
https://shogakukan.tameshiyo.me/9784091035530

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