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健康

ほとんどの日本人が知らない「老眼」最新治療トレーニング

文/鈴木拓也

多くの人が40~50代にかけて老眼にかかる。そして、大半の人は「年だから仕方ない」と諦めて老眼鏡を新調するか、「まだまだ若い」と言い聞かせて不便な裸眼のまま頑張り続ける。

それに対して、「老眼になってもあきらめる必要はありません。老眼はよくすることができます。一方で対応を間違えると目だけでなく体調が悪くなります」と言うのは、国東大宮メディカルセンターなどで眼科医として活躍する平松類医学博士。著書の『老眼のウソ』(時事通信出版局)では、ほとんどの日本人が知らない老眼にまつわる新情報を提供している。

例えば「目にいい生活とトレーニング」と題された章では、老眼はトレーニングで改善するか否かについて考察されている。医療界では、老眼の治療について「しても無駄だ」派と「予防・改善できる」派に分かれているそうで、平松博士は後者の立場である。

老眼のトレーニング法はある

漠然と視力回復をうたったトレーニング法なら、雑誌・書籍・テレビでしばしば目にする。平松博士によれば、そういったものにバリエーションはあまたあれど、だいたいが毛様体筋を鍛えるというものだという。

それらは、老眼にもそれなりに効果はあると言うが、平松博士がイチオシするのが、「ガボールパッチ」を使ったトレーニング。

このトレーニングは、種類の異なるたくさんのガボールパッチ(白と黒の曖昧な縞模様)が印刷された見開きページを見て、全く同一のパッチ同士を探すというもの。

ガボールパッチの例(出典:NeuroAnaToday)

これは目と脳をうまく連携させ、「目に入ってきた情報を処理する脳を鍛える」方法で、老眼には一番効果的だという。

老眼鏡とコンタクトレンズ

少なからぬ人が老眼鏡を忌避する理由として「老眼鏡をかけると老眼が進むから」というものがある。しかし、これは医学的に間違いで「老眼鏡を買うことにあまり躊躇しない方がいいです」と、平松博士は老眼鏡の使用に前向きだ。そして、これに抵抗をおぼえる人には、老眼用のコンタクトレンズをすすめている。これには、大別して左右で度数の異なるモノビジョンコンタクトと遠近両用コンタクトの2種類の選択肢があり、それぞれに長所・短所がある。

ただ、コンタクトレンズについては「過度の期待をしないこと」と釘を刺している。これはメガネよりレンズの加工が難しいからで、何度か微調整して最適のものを見つける試行錯誤が覚悟できる人向けなのだそう。

手術で老眼は「治る」のか?

手術で視力回復といえば、近視を治すレーシックが有名だが、老眼を治す手術もあるという。これには何種類かあるが、平松博士が推すのは、「眼内レンズ手術」。これは、目の水晶体を取り除いて、そこに人工のレンズを埋め込むというドラスティックなやり方。

運転時も読書時もメガネが要らなくなってゴルフも上達し、「若々しく見えるね」と言われるようになった大成功の例もある。ただし、視力が若い頃と同じように戻るわけではなく、やはり「見え方の精度は落ち、中間距離は見にくいまま」というのが実情のようだ。

*  *  *

このほか、本書では老眼の薬についても言及されている。これは海外で開発中で、まだ実用の段階に至っていないというが、老眼治療の革命を予感させる話ではある。

本書を通読して感じたのは、老眼治療・予防はまだ発展途上であり、現時点では「これだ」と言えるような決定的な療法はないということ。そのため、本格的な老眼医療へ向けての中間報告的な印象もなくはないが、ほぼ確実なことは、放置すれば日常生活に不便なだけでなく、頭痛・肩こりなどの不定愁訴を引き起こすという点。やはり、老眼鏡を含めた何らかの具体策を検討し、実行するのが望ましいようだ。

【今日の健康に良い1冊】
『老眼のウソ』
http://book.jiji.com/books/publish/p/v/1012
(平松類著、本体1,400円+税、時事通信出版局)

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。

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