取材・文/池田充枝
アンセル・アダムス(1902-1984)は、1920年代後半から約60年にわたりアメリカで活躍した最も著名な写真家の一人です。広大な自然の中に見出した美と崇高の風景を精緻なモノクロ写真で表現した作品は、今も写真史上の金字塔として語り継がれています。
そんな風景写真の巨匠アンセル・アダムズの展覧会が、六本木の東京ミッドタウンにある『FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)』にて開かれています(~2017年12月6日まで)。同館の開館10周年を迎えたが記念企画展のひとつです。
京都国立近代美術館の協力を得て、同館所蔵の写真コレクションである「ギルバート・コレクション」のなかから厳選されたアンセル・アダムス作品約60点が一堂に展示されています。
本展の見どころを、富士フイルム株式会社宣伝部にうかがいました。
「アダムスは1902年、サンフランシスコに生まれました。少年期、ピアニストを目指していましたが、同時期に家族でヨセミテ渓谷を旅行し、写真を撮ったことから、ヨセミテの自然と写真に強く興味を抱くようになり、写真にも深く傾倒していきました。
ピアニスト志望だったアダムスが写真に一生を捧げる決意を固めたのは、1930年に写真家のポール・ストランド(1890-1976)と出会ったことがきっかけでした。アダムスは彼のネガを見た瞬間に啓示を受け、創造的な写真とは何かを直観したといいます。
アダムスは完璧なモノクロ写真を制作するための“ゾーン・システム”の発明や、写真市場の成立、写真教育機関の拡充など、写真におけるあらゆる分野の開拓者として現代写真の可能性を切り開き、生涯を通じてその発展に寄与してきました。
《ネガは楽譜であり、プリントは演奏である》という、音楽家を志した経験を持つアダムス独自の印象的な格言は現在もよく知られるところです。風景写真、そして銀塩写真の最高峰として輝き続けるアンセル・アダムスのオリジナル・プリントで不朽の名作の数々をこの貴重な機会にご堪能ください」
見るものに深く静かに語りかける、神々しいまでに美しい風景。アダムスの世界にひたりに、会場に足をお運びください。
【開催要項】
『二十世紀の巨匠 美と崇高の風景写真家 アンセル・アダムス』
会期:2017年11月17日(金)~12月6日(金)
会場:FUJIFILM SQUARE
住所:東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン・ウエスト
電話番号:03・6271・3350(10:00~18:00)
http://fujifilmsquare.jp/
開館時間:10時から19時まで(入場は18時50分まで)
会期中無休、入場無料
取材・文/池田充枝