取材・文/池田充枝
独眼竜の名で知られる戦国武将、伊達政宗(だて・まさむね)は、永禄10年(1567)、米沢城主の伊達輝宗の嫡男として生まれました。幼名は梵天丸。幼少の頃に天然痘で右眼を失明したことにより「独眼竜」の異名で知られるようになりました。
天正12年、18歳で家督を継いでより、畠山義継、佐竹義重、蘆名義弘、相馬義胤らと戦っておよそ5年で南奥羽の覇権を握りましたが、天下人であった豊臣秀吉には抵抗かなわず服属し、朝鮮出兵(文禄の役)にも従軍しています。
朝鮮出陣の際、伊達軍が誂えた戦装束は奇抜なもので、京の人々の度肝を抜いたことから、派手で奇抜な様を表す「だて」という言葉に「伊達」の字をあて、「伊達をする」、「伊達者(だてもの)」と呼ぶようになり、いつしか、粋でしゃれた様を表す言葉にも使われるようになりました。
慶長5年(1600)の関ヶ原の戦いでは徳川方に属して上杉景勝に勝利し、居城を仙台に移して仙台藩の礎を築きます。大坂の陣でも徳川方として参戦し、その後も全国屈指の大大名として徳川秀忠、家光の信任を得て62万石の大藩を盤石のものとしました。
海外にも広く眼を向け、慶長18年(1613)、家臣の支倉六右衛門(常長)らをスペイン、ローマに派遣。遣欧使節がスペイン国王、ローマ教皇に謁見するなど日本の外交史に特筆すべき実績を残しています。晩年はもっぱら領国の開発に力をそそぎ、寛永13年(1636)年70歳で生涯を閉じました。
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戦国の荒波を乗り越え、泰平の世までを生きた伊達政宗。その生涯をたどる展覧会「特別展 伊達政宗 生誕450年記念」が仙台市博物館で開かれています。伊達政宗が生まれて450年にあたる節目の年を記念しての開催です(~2017年11月27日まで)
本展は、館蔵資料はもとより国内各地の多彩な関連文化財約230件から政宗の足跡や生涯をたどり、伊達政宗の人物像に迫ります。その見どころを、仙台市博物館の学芸員、佐々木徹さんにうかがいました。
「まず、伊達政宗と重臣の伊達成実、片倉小十郎(重綱、景綱の嫡男)の具足です。これらが当館で出揃うのは30年ぶりのことです。
毛虫の前立を用いた具足としても有名な伊達成実所用の具足は、海を渡り、北海道伊達市から出品されますので、大変貴重な機会となります。さらに政宗が豊臣秀吉から拝領した愛刀「鎺国行(はばきくにゆき)」(個人蔵)をはじめ、それぞれの家に伝来した刀と旗もあわせて展示する予定です。
政宗が南奥羽の覇者となる契機の戦、摺上原合戦当日の政宗書状、徳川家康による覇権確立のきっかけとなった関ケ原合戦当日の政宗宛家康書状など、歴史が動く瞬間をとらえた文書(もんじょ)も必見です。ぜひご観覧ください」
戦国武将としての勇ましい活躍や大藩62万石を築いた力量、伊達政宗のすべてに迫る展覧会です。ぜひ足をお運びください。
【展覧会情報】
『特別展 伊達政宗―生誕450年記念』
会期:2017年10月7日(土)~11月27日(月)※前・後期で展示替えあり
前期2017年10月7日(土)~10月29日(日)
後期10月31日(火)~11月27日(月)
会場:仙台市博物館
住所:宮城県仙台市青葉区川内26(仙台城三の丸跡)
電話番号:022・225・3074
https://www.city.sendai.jp/museum/
開館時間:9時から16時45分まで(入館は16時15分まで)
休館日:月曜(ただし10月9日、11月27日は開館)
取材・文/池田充枝