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稀代の愛猫家だった文士・大佛次郎の「猫コレクション」展覧会

文・写真/鈴木拓也

空前の猫ブームのおかげか、大の愛猫家であった作家・大佛次郎(おさらぎ じろう、1897~1973)に注目が寄せられている。

大佛は、小学生の頃から猫を飼い始め、自宅にいた猫の数は累計「五百匹に余る」と本人が述懐するほどだから、相当な猫好きである。本人は「一匹で沢山だがな」とは言うものの、散歩道に捨て猫がいれば拾ってくるし、家の前に捨ててゆく人も後を絶たずで、常に十数匹の猫が家の中にいたという。(参考記事:「一匹多いぞ。俺は家を出る!」(大佛次郎)【漱石と明治人のことば131】

そんな猫たちを見ていて書いたのが、童話『スイッチョねこ』であり、猫の登場する多くのエッセイと小説である。さらに、猫の置物や絵画なども家中ところ狭しと飾られていた。

そんな大佛次郎の猫にまつわるコレクションを展観する展覧会「大佛次郎と501匹の猫」展が、横浜市の大佛次郎記念館で開催されている(~2017年11月12日まで)。

本展は、『スイッチョねこ』の原画、大佛の猫エッセイの遺稿や猫の写真、大佛が集めに集めた猫グッズを堪能できる稀有な展覧会である。

「大佛次郎と501匹の猫」展の展示品の一部

最初に目を引くのが、『スイッチョねこ』の数々の原画だ。これまで幾つかの出版社から刊行されており、そのたびに新たに絵が描き起こされるので、自然と原画はそれなりの数になる。描き手は異なれど、どれも猫愛に満ちた絵でほっこり。

朝倉摂『スイッチョねこ』原画 口の中を見せる白吉(展示期間は8229 24

朝倉摂『スイッチョねこ』原画 白吉とおかあさんととらねこのお医者さま(展示期間は9 261112)

有名な『猫飼好五十三疋』(歌川国芳)や『猫の銭湯』(木村荘八)など、大佛が集めた猫絵も充実している。

木村荘八の形見として大佛へ贈られた歌川国芳の『猫飼好五十三疋』

大佛は、筆まめであったばかりでなく、「撮りまめ」でもあったことが分かるのが、飼い猫たちの写真。大佛の猫に対する愛情が伝わってくるかのよう。

大佛が撮った飼い猫たちの写真

圧巻なのが、大佛が生前収集した、古今東西の猫の置物やそれにたぐいした珍品・逸品の数々。猫アーティスト川村目呂二作の『猫あんか』のように、今ではきわめて希少価値の高いものもある。

大佛が3個所有していた、背中の蓋が開いて中に炭を入れる『猫あんか』

「大佛次郎と501匹の猫」展は、大佛次郎生誕120年を記念したテーマ展示の第2弾であり、力の入った展示会となっている。コレクションの多さから、前期(7/13~8/20)、中期(8/22~9/24)、後期(9/26~11/12)と3期に分かれ、展示品の入れ替えが行われる。

【「大佛次郎と501匹の猫」展】
■会期:2017年7月13日(木)~11月12日(日)
■会場:大佛次郎記念館 2階ギャラリー
■開館時間:4~9月は10:00~17:30(入館は17時まで)、10~3月は10:00~17:00(入館は16時30分まで)
■休館日:月曜(祝日にあたれば翌平日が休館)

■観覧料(大人):200円(20名以上の団体割引150円)、なお9月2日(土)と10月9日(月)は入館無料
■電話:045-622-5002
■Webサイト:http://osaragi.yafjp.org/

また、大佛次郎記念館が監修して、今年2月に刊行された書籍『大佛次郎と猫』(小学館)は、本展示の公式カタログを兼ねている。展示物の鑑賞後に読んでも良し、鑑賞前に予習するのも良しの、充実した内容となっている。

『大佛次郎と猫 500匹と暮らした文豪』
(監/大佛次郎記念館、本体1,500円+税、小学館)
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388535

文/鈴木拓也
2016年に札幌の翻訳会社役員を退任後、函館へ移住しフリーライター兼翻訳者となる。江戸時代の随筆と現代ミステリ小説をこよなく愛する、健康オタクにして旅好き。

写真提供/大佛次郎記念館

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