「江戸大相撲生写之図」(左隻)〔享和~文化年間(1801-1818) 相撲博物館蔵〕展示期間:7月8日~7月31日

取材・文/池田充枝

国技と言われ、日本の伝統文化の代表格ともいえる相撲。古事記や日本書紀のなかにある力くらべの神話や、宿禰(すくね)・蹶速(けはや)の天覧勝負の伝説に起源があるとされていますが、そもそもは、その年の農作物の収穫を占う祭りの儀式として毎年行われ、これがのちに宮廷行事となったものです。

鎌倉時代から戦国時代にかけては、武士の戦闘訓練のひとつとして盛んに行われるようになりました。織田信長は無類の相撲好きで、各地から力士を集めて安土城などで上覧相撲を催し、勝ち抜いたものを家臣として召し抱えていたそうです。

さらに下って江戸時代に入ると、浪人や力自慢の者のなかから相撲を職業とする人たちが現れ、全国で勧進相撲が行われました。江戸中期には定期的に相撲が興行されるようになり、谷風、小野川、雷電という3大力士が出現し、相撲の人気は急速に高まりました。横綱をはじめとする強豪力士のなかには、大名に抱えられ、帯刀を許された者もいました。

相撲は長い歴史のなかでルール化され、洗練され、スポーツとしての形態を整えて、今日の大相撲の基礎を確立しました。

そんな相撲における刀剣の意味を問う展覧会が、大阪歴史博物館で開かれています。(~8月28日まで)

本展は、歴代の名横綱が所持した太刀など、大相撲にゆかりのある日本刀にスポットをあてながら、相撲における刀剣の意味や、横綱の歴史に着目し、これまでふれる機会の少なかった相撲文化の一面を、約150点の資料で紹介します。

「横綱白鵬翔 土俵入り太刀」銘:(表)夢運心 横綱白鵬翔関守護(裏)大和国住 月山貞利謹作(花押)(棟)平成二寿五年六月吉祥日「金梨子地塗三つ葵紋蒔絵大刀拵」〔個人蔵〕展示期間:8月2日~8月28日

本展の見どころを、大阪歴史博物館の本展展示担当、飯田直樹さんにうかがいました。

「江戸時代、力士を描いた錦絵などの美術作品のなかには、帯刀姿の力士を描くものが数多く存在します。実は大相撲の世界において日本刀は、力士の地位や権威を示す象徴としての役割を果たしてたのです。歴代の横綱たちが土俵入りに使用した太刀のなかには、当時の名だたる刀匠によって製作されたものがありました。

本展では、歴代の名横綱が所持した太刀のなかから名品を展示し、刀匠の技術や刀剣美を解説します。

あわせて、横綱の化粧廻しや相撲絵など相撲関係資料を紹介するとともに、大阪歴史博物館が収集してきた大阪相撲に関する資料も展示し、公益財団法人日本相撲協会の源流の一つである大阪ゆかりの相撲集団の歴史についても触れていただける展示となっています」

大相撲の歴史の意外な一面に迫る、貴重な機会です。相撲ファンだけでなく、刀剣ファンにとっても見逃せない展覧会。ぜひお運びください。

展覧会 特別展「大相撲と日本刀」
会期 2017年7月8日(土)~8月28日(月)
会場 大阪歴史博物館 6階 特別展示室
問い合わせ先 電話:06・6946・5728
Webサイト http://www.mus-his.city.osaka.jp/
開館時間 9時30分から17時まで、会期中の金曜日は20時まで(入館は閉館30分前まで)
休館日 火曜日(ただし、8月15日は開館)

【参考サイト】
日本相撲協会公式サイト

取材・文/池田充枝

 

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