ギタリストのビル・フリゼールは、1970年代にジャズシーンに登場し、1983年のアルバム・デビュー以来、近年のジャズを発展させてきたミュージシャンである。加えて、エルヴィス・コステロやポール・サイモン、ジンジャー・ベイカーなど、ジャズというジャンルの境界にこだわらず、多くのミュージシャンとのコラボレーションを展開し、現代ミュージック・シーンの重鎮ギタリストとしての座を不動のものにしている。
そんなビル・フリゼールが、来たる6月に来日し、東京・南青山の「ブルーノート東京」にて「星に願いを~When You Wish Upon A Star」と題するライブを行う。
ライブのタイトルは、フリゼールの新作アルバム『星に願いを』にちなむ。タイトル・ナンバーの他、「ゴッドファーザー愛のテーマ」「ムーン・リバー」「007は二度死ぬ」などの映画音楽や、「ボナンザ」といったテレビ番組のテーマ曲をカバーした映像名曲集だ。
「星に願いを」と言えばルイ・アームストロングやビル・エバンスといった多くの歌手や演奏家たちにカバーされ、ジャンルを越えて愛されてきたスタンダード・ナンバーだが、アルバムに収められている同曲のカバーは、フリゼールらしい静謐な解釈の演奏に乗って、ぺトラ・ヘイデンが味わい深い歌声を聴かせている。
ペトラ・ヘイデンは、2014年にこの世を去った名ベーシスト、チャーリー・ヘイデンの娘さんだ。昨年の春、ノラ・ジョーンズのグラミー受賞曲「Don’t Know Why」の作者としても知られるシンガーソングライター、ジェシ・ハリスと共にブルーノート東京のステージに立ち、多くの観客を魅了した。
今回のビル・フリゼールのステージでは、ヴォーカルにペトラ・ヘイデン、ドラムスにルディ・ロイストン、ベースにトーマス・モーガンと名手が揃う。みなアルバム「星に願いを」の中心メンバーでもある。
「1951年生まれのビル・フリゼールは、ジャズをベースに、フォーク、即興音楽と独自のサウンドを追及し、さまざまなアーティストたちとコラボレートしてきた大物ギタリスト。ペトラをヴォーカルに迎えて、50〜60年代の映画、テレビ音楽を取り上げる今回のステージ。アルバムでは未来とレトロが入り混じった魅惑的な世界が繰り広げられていましたが、ライブはどんな雰囲気になるのでしょうか」
そう語るブルーノート東京の原澤美穂さんのコメントのように、どんなライブになるのかを楽しみに待つファンも多い。アルバム「星に願いを」でのすばらしい競演を、ライブで体感できる絶好の機会となるだろう。
【ライブ情報】
ビル・フリゼール「星に願いを~When You Wish Upon A Star」
■公演日時/2017年6月15日(木)、16日(金)、17日(土)、18日(日)
http://www.bluenote.co.jp/jp/sp/artists/bill-frisell/
■予約・お問合せ/電話 03-5485-0088
文/堀けいこ