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「まことに人生、一瞬の夢、ゴム風船の、美しさかな」(中原中也)【漱石と明治人のことば22】

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今年2017年は明治の文豪・夏目漱石の生誕150 年。漱石やその周辺、近代日本の出発点となる明治という時代を呼吸した人びとのことばを、一日一語、紹介していきます。

【今日のことば】
「まことに人生、一瞬の夢、ゴム風船の、美しさかな」
--中原中也

中原中也(なかはら・ちゅうや)は明治40年(1907)4月、山口県に生まれた。夏目漱石が教職を辞して朝日新聞社入りし、文筆に専念していく分岐点の時期と符号する。

掲出のことばは、それから30年が経過した昭和12年(1937)に書かれた詩『春日狂想』の一節。この前年、中也は長男の文也をわずか2歳で亡くしている。

中也の心は引き裂かれた。「お太鼓叩いて 笛吹いて/あどけない子が 日曜日/畳の上で 遊びます」(『六月の雨)』)という文也生前の中也の詩と重ね合わせるとき、命の儚さとその悲しみの深さは一層浮き彫りになるだろう。

中也の詩には、えてして、身近な人や大切な何かを失う切なさがつきまとう。そもそも、その詩的履歴の初めに記される出来事も、7歳のときに遭遇した弟の死だった。漱石も44歳のとき、幼い娘を亡くしている。

13人もの大学生の命が失われた軽井沢のスキーバス事故から1年が過ぎた。バス会社や業界の安全軽視の実態が明らかになってきているが、こんなことを繰り返してはいけない。失われた若く貴い命を惜しむとともに、わが子を失った親御さんたちの悲しみにも思いを致す。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)などがある。2016年には、『サライ.jp』で夏目漱石の日々の事跡を描く「日めくり漱石」を年間連載した。

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