時代を感じさせない普遍的なデザインの秘密に迫る!マリメッコ展

フィンランドのデザインハウス・マリメッコに関する展覧会が、東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開かれています。フィンランド・デザイン・ミュージアム所蔵のファブリック(布地)約50点、ドレス約60点、デザイナー自筆のスケッチなどで、マリメッコの60年にわたる歴史に迫ります。

ファブリック ≪ウニッコ≫(ケシの花)、図案デザイン:マイヤ・イソラ、 1964年 Unikko pattern designed for Marimekko by Maija Isola in 1964

ファブリック ≪ウニッコ≫(ケシの花)、図案デザイン:マイヤ・イソラ、1964年 Unikko pattern designed for Marimekko by Maija Isola in 1964

マリメッコは1951年、アルミ・ラティアがヘルシンキで創業しました。現在は食器や文具など多角的に展開していますが、最初はテキスタイル工場を営みながら、婦人服を生産する小さな会社でした。マリメッコという名前はフィンランド語で「マリーのドレス」という意味です。

ラティア自身がデザインすることはほとんどなく、マイヤ・イソラ、ヴオッコ・ヌルメスニエミ、日本人では脇阪克二と石本藤雄など、才能あふれるデザイナーを発掘して、引き入れ、単純明快で美しい配色のファブリックを世に送り出しました。

ファブリック≪カイヴォ≫(泉)、図案デザイン:マイヤ・イソラ、1964年  Kaivo pattern designed for Marimekko by Maija Isola in 1964

ファブリック≪カイヴォ≫(泉)、図案デザイン:マイヤ・イソラ、1964年 Kaivo pattern designed for Marimekko by Maija Isola in 1964

マイヤ・イソラは、マリメッコのアイコンとして現在も親しまれている「ウニッコ」を生み出しました。一見、単なる幾何学的な図形を組み合わせた模様に見えても、タイトルを確かめると、“キヴェット=石”、“カイヴォ=泉”となっており、自然から着想を得て作品が作られていることがわかります。

ドレス≪キヴィヤルカ≫、1957年 ファブリック≪ピッコロ≫(ピッコロ[擬音])、1953年 服飾・図案デザイン:ヴオッコ・ヌルメスニエミ Design Museum Archive

ドレス≪キヴィヤルカ≫、1957年 ファブリック≪ピッコロ≫(ピッコロ[擬音])、1953年 服飾・図案デザイン:ヴオッコ・ヌルメスニエミ Design Museum Archive

ヴオッコ・ヌルメスニエミは、マリメッコの草創期を支えたデザイナーです。彼女が作る服は、テキスタイルの柄を生かすため、できるかぎりカッティングの少ない単純な形をしています。当時主流だった身体にフィットする締め付けの多い服とは対象的な、直線的でストンとした形のゆるやかなコットンドレスは、女性の活動に自由をもたらす象徴になりました。

「フィンランドでは、女性はまだコルセットをしていました。でも私は陶芸家(注:大学での専攻はファッションではなく陶芸)だったので、最初から“かたち”というものを理解していて、私が手がけるマリメッコの服についてもまずは“かたち”を整理しようと思っていました。こうしてシンプルなかたちのドレスが生まれましたが、保守的な人には、私が生み出したデザインの服を受け入れられない人もたくさんいました」(展覧会図録より引用)

ヌルメスニエミさんはこのように、当時を振り返って説明します。批判が出ていたということから、当時、いかに革新的なものであったか想像できます。

ジャクリーン・ケネディが購入したドレス≪ヘイルヘルマ≫、1959年ファブリック≪ナスティ≫(小さな無頭釘)、1957年、服飾・図案デザイン:ヴオッコ・ヌルメスニエミDesign Museum / Harry Kivilinna

ジャクリーン・ケネディが購入したドレス≪ヘイルヘルマ≫、1959年ファブリック≪ナスティ≫(小さな無頭釘)、1957年、服飾・図案デザイン:ヴオッコ・ヌルメスニエミDesign Museum / Harry Kivilinna

1960年代には、ケネディ大統領夫人のジャクリーン・ケネディが9着のワンピースを購入したことが話題になり、マリメッコの存在は全米に知られました。上の画像がその時にジャクリーンが手に入れたドレスの一つです。

日本では、1972年、「西川ふとん」の西川産業と業務提携を結んだことで、輸入品の販売とライセンス製品の生産の販売が始まりました。2007年、西川産業との契約は終了して別会社に契約が移ってからも、直営店がオープンするなど、ますますの広がりを見せています。2000年代から急速に日本で目にする機会が増えているように感じますが、それは1970年代から、ゆっくりと知名度高めたからこそ、成し得たことなのでしょう。

流行に乗ったすぐに古くなってしまうようなファッションではなく、時代を感じさせない、いつの世も人々に親しまれる普遍的なデザイン。そのルーツを探りにぜひ、お出かけください。

【マリメッコ展―デザイン、ファブリック、ライフスタイル】
■会期/2016年12月17日(土)~2017年2月12日(日)
■会場/Bunkamura ザ・ミュージアム
■住所/東京都渋谷区道玄坂2-24-1
■電話番号/03・5777・8600(ハローダイヤル)
■料金/一般 1400円 大高生1000円 中学生・小学生700円
■開館時間/10時~19時(入館は18時30分まで)
12月31日(土)を除く、毎週金・土曜日は21時まで(入館は20時30分まで)
■休館日/2017年1月1日(日・祝)
■アクセス/JR線「渋谷駅」ハチ公口より徒歩7分、東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」より徒歩7分、東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」3a出口より徒歩5分

取材・文/藤田麻希
美術ライター。明治学院大学大学院芸術学専攻修了。『美術手帖』などへの寄稿ほか、『日本美術全集』『超絶技巧!明治工芸の粋』『村上隆のスーパーフラット・コレクション』など展覧会図録や書籍の編集・執筆も担当。

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