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「自分は自分流にするのが自分に対する義務である」(夏目漱石)【漱石と明治人のことば11】

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今年2017年は明治の文豪・夏目漱石の生誕150 年。漱石やその周辺、近代日本の出発点となる明治という時代を呼吸した人びとのことばを、一日一語、紹介していきます。

【今日のことば】

「何をしても自分は自分流にするのが自分に対する義務であり、かつ天と親とに対する義務だと思います。天と親がこんな人間を生みつけた以上は、こんな人間で生きておれという意味より外に解釈しようがない」
--夏目漱石

夏目漱石が明治39年(1906)7月2日付で、友人の高浜虚子あてに書いた書簡より。虚子は正岡子規門下の俳人にして、俳句文芸雑誌『ホトトギス』の編集発行を子規からまかされた人物。

子規の鬼籍入りから4年が経過したこの頃、『ホトトギス』誌上には漱石の小説家としてのデビュー作『吾輩は猫である』の掲載が始まっていて、互いの交流は深まっている。漱石から虚子への手紙には、このあとさらに「こんな人間以上にも以下にもどうすることもできないのを、強いてどうかしようと思うのは、当然天の責任を自分が背負って苦労するようなものだと思います」と綴られていく。

人間はいくつになっても、自分の存在意義について悩むものだろう。これでいいのだろうか、もっとできることがあったのではないか、などとくよくよする。だが、むやみに自己否定に走ったり、自分をねじ曲げて苦しむ必要はない。まずは、自分自身が自分という人間を認め、謙虚に肯定するところから出発していく。自分流を貫けばいい。漱石は私たちにも、そう語りかけているのである。ありのままの自分でいいのだよ、と。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)などがある。2016年には、『サライ.jp』で夏目漱石の日々の事跡を描く「日めくり漱石」を年間連載した。

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