字画も少なく、しょっちゅう⽬にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか⼼配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか?
サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を⾒ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」今回は、「濁酒」をご紹介します。お酒に舌鼓をうちながら漢字への造詣を深めてみてください。

「濁酒」は何と読む?
「濁酒」の読み方をご存じでしょうか?
正解は……
「どぶろく」です。
一般的には「だくしゅ」と読みますが、別名「どぶろく」が非常に馴染み深い名称で定着しています。読み方は複数あり、「だくしゅ」のほか「じょくしゅ」と読むこともあります。
日本酒の製造工程で醪(もろみ)を濾さずにそのまま飲用に供するお酒を指します。一方、「にごりざけ」と読む場合は、現在市販されている濁り酒全般を指すことが多く、こちらは醪を粗い目で濾して造られた清酒の一種となります。
「濁酒」の由来
「濁(だく)」は「にごる」「濁る」という意味を持ち、「酒」はもちろん「さけ」を表します。濁酒は酒の製造過程で米麹などを漉さず、そのまま発酵液を飲用にしたもので、白く濁って見えるのが特徴です。
平安時代以前から存在し、「濁醪(だくらう)」と呼ばれていたことが現在の「どぶろく」の語源となりました。日本の伝統的な酒のひとつであり、稲作の始まりとほぼ同期している歴史の長さを誇ります。
現在、どぶろくの製造には特別な許可が必要となっています。明治時代に酒税法が制定されて以来、個人での製造は禁止されており、現在では特区認定を受けた地域や、製造免許を取得した業者のみが製造を行っています。

現代の濁酒
最近では、地方創生の一環として「どぶろく特区」が各地に設けられ、地域活性化の取り組みとして注目を集めています。伝統的な製法で造られる濁酒は、米の栄養成分がそのまま残っているため、ビタミンB群や必須アミノ酸が豊富に含まれており、健康面でも見直されています。
また、近年の発酵ブームも相まって、観光客向けの体験醸造や、冬季限定の「生どぶろく」が人気を集めています。SNSでは、ガラス越しに漂う白い濁りと、酒器から立ち上る香りが「映える」と評判。
また、濁酒はアルコール度数が低めで飲みやすい反面、発酵が進むため扱いが難しいお酒でもあります。その日限りの味わいに出会えるのも、大きな魅力です。
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いかがでしたか? 今回の「濁酒」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 古来から日本人に愛され続けてきた濁酒の深い歴史と文化に、改めて思いを馳せてみてください。
来週もお楽しみに。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com
