字画も少なく、しょっちゅう⽬にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか⼼配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか? サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。
簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の記事を読みながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。今回の「脳トレ漢字」は、「発足」をご紹介します。「はっそく」以外にも読み方があります。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。

「発足」とは何とよむ?
「発足」の読み方をご存知でしょうか? 「はっそく」とも読みますが……
正解は……
「ほっそく」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「組織や機構などが設けられ、活動を始めること。」「出発すること」と説明されています。「結成」「創設」「新設」などが類義語として挙げられます。
「はっそく」と読む場合は、目的地に向けて出発することを意味しますが、近年ではあまり使われていません。
「発足」の漢字の由来は?
「発」という漢字には「生まれる」「起こす」という意味が含まれ、「足」は「歩くこと」「行くこと」を意味します。現在ではあまり使われませんが、「発足」には「出発すること」という意味があり、ここからきているのではないかと考えられます。
町内会の歴史

「組織や機構などが設けられ、活動し始めること」という意味を持つ、「発足」。私たちにとって身近な組織の一つに、町内会がありますが、いつ頃できたものかご存じでしょうか? 町内会は、日中戦争以降、内務省の訓令によって整備されたのがはじまりだと考えられています。
住民同士を団結させ、経済統制をしやすくすることを目的として作られ、戦時中は「防空」と呼ばれる訓練や生活品の統制が行われていたそうです。戦後、町内会は国民の生活や思想に影響を与えたとして、占領軍によって禁止されてしまいました。
昭和22年(1947)、町内会は正式に廃止されましたが、その名残は各地で見られ、昭和27年(1952)年4月にサンフランシスコ講和条約が締結されたことで、町内会は地域組織として復活したのです。
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いかがでしたか? 今回の「発足」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 回覧板を回す風習も、町内会が発足した当初から続いているそうです。地元の町内会について調べて見ると、町の歴史や時代ごとの変遷を知ることができて面白いかもしれませんね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB
参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本国語大辞典』(小学館)
『日本大百科全書』(小学館)
