「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努⼒をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶⼒の鍛錬につながると⾔われています。

今回の「脳トレ漢字」は、「東雲」をご紹介します。「東の雲」と書いて、特定の時間帯を表す言葉になります。「とううん」と読まれることもありますが、それ以外にも素敵な読み方があります。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。

「東雲」とは何とよむ?

「東雲」の読み方をご存知でしょうか? 「とううん」ではなく……

正解は……
「しののめ」です。

『小学館デジタル大辞泉』では、「夜が明けようとして東の空が明るくなってきたころ。あけがた。あけぼの。」と説明されています。和歌に使われることが多い「東雲」。明け方に、東の空にたなびいている雲という意味もあるそうです。

また、「とううん」と読まれることもありますが、一般的な読み方は「しののめ」です。

「東雲」の漢字の由来は?

「東雲」の由来の一つに、『万葉集』に見える「小竹之眼」「細竹目」が挙げられます。これらは「偲ぶ」「忍ぶ」にかかる言葉で、「しののめ」の読みの由来ともいわれているそうです。これに、「東雲」という漢字を当てたと考えることができます。

また、「小竹之眼」「細竹目」は、篠竹を簾状に編んだものと考えられ、この編み目が明かり取りの用をなしたことから、「明け方」「夜明け」という意味として使われるようになったという説もあります。

「東雲」の和歌

だんだんと夜が明けていく頃を指す、「東雲」。『古今和歌集』の中には、「東雲の ほがらほがらと 明けゆけば おのがきぬぎぬ なるぞ悲しき」という歌があります。現代語訳すると、「東の空はだんだんと明けてきて、あなたと私はそれぞれの衣を纏って別れますが、それが本当に悲しいのです」という意味です。

この和歌にも見られる通り、平安時代以降、「東雲」は男女の別れを詠むのに多く用いられました。主に、「しののめの別れ」や「しののめの道」と詠まれることが多かったそうです。また、「東雲」は未明頃を指す「暁(あかつき)」よりも明るく、「曙(あけぼの)」よりもやや暗い時間帯と考えられています。

***

いかがでしたか? 今回の「東雲」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 立春を迎え、徐々に日が長くなってきました。少し早起きをすると、だんだんと春に近づいていく東雲の空を眺めることができそうですね。

文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB

参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本国語大辞典』(小学館)
『日本大百科全書』(小学館)

 

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