今はまさに浮世絵ブーム、と言っても過言ではありません。

浮世絵は、太平の世になった江戸初期、かつての「憂き世」を「浮き世」として謳歌したい気分が生んだ風俗画全般をさします。

江戸中期になると木版画の技術が飛躍的に向上して多色摺り浮世絵が出回り、その華やかさから「錦絵」と呼ばれました。錦絵には「役者絵」「美人画」「名所絵」など庶民の関心をひく題材が選ばれ、文化・文政期には最盛期に達しました。

豊原国周「五世尾上菊五郎の弁天小僧菊之助 極楽寺山門の場」明治22年(1889)
静嘉堂文庫美術館蔵

静嘉堂@丸の内で開催の「豊原国周生誕190年 歌舞伎を描く―秘蔵の浮世絵初公開!」は役者絵に特化した展覧会です。(1月25日~3月23日)

本展のみどころを、本展担当学芸員の吉田恵里さんにうかがいました。

「歌舞伎を描いた役者絵は浮世絵師なら誰でも描いたものですが、それ故に奥深いジャンルです。

本展では静嘉堂の浮世絵コレクションによって歌舞伎を描いた絵、役者絵の歴史が学べるのです。近世初期風俗画の優品「歌舞伎図屏風」を皮切りに、初期浮世絵から錦絵時代を経て明治まで、全身像、大首絵、出語り図、役者のオフショットなどさまざまなジャンルの役者絵を網羅しています。

「歌舞伎図屏風」 江戸時代前期(17世紀)
静嘉堂文庫美術館蔵
鳥居清長「出語図 三桝徳次郎の夕霧、四世松本幸四郎の藤屋伊左衛門」
天明期(1781-89) 静嘉堂文庫美術館蔵

とりわけ三菱二代社長・岩﨑彌之助(1851~1908)の夫人・早苗(1857~1929)が愛玩した秘蔵の「錦絵帖」は、まるで今摺ったように美しい作品が目白押し。明治の写楽と讃えられた豊原国周による舞台の臨場感あふれる錦絵が多数初公開されます。

豊原国周「五世尾上菊五郎の柴田勝家」 明治2年(1869)
静嘉堂文庫美術館蔵

幕末明治は浮世絵円熟期、歌舞伎界では「団菊左」の時代です。国周の師で、幕末浮世絵界の重鎮・歌川国貞でなければ描けない超絶密画の肉筆画帖「芝居町・新吉原 風俗鑑」も全図を公開。浮世絵ファン、歌舞伎ファンは必見の展覧会です」

三代歌川豊国(国貞)「芝居町 新吉原 風俗絵鑑」
一帖のうち第三図「菅原伝授手習鑑のうち車引の場」
江戸時代(19世紀) 静嘉堂文庫美術館蔵

迫力溢れる大判錦絵で書かれた歌舞伎絵、会場でゆっくりじっくりご鑑賞ください。

【開催要項】
豊原国周生誕190年 歌舞伎を描く―秘蔵の浮世絵初公開!
会期:2025年1月25日(土)~3月23日(日) ※浮世絵版画は総入れ替え
前期1月25日(土)~2月24日(月・振休)後期2月26日(水)~3月23日(日) 
会場:静嘉堂@丸の内
住所:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://www.seikado.or.jp/
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
※夜間開館については公式サイト参照
休館日:月曜日(2月10日、2月24日は開館)、2月2日(日・全館停電)、2月25日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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