NHKの大河ドラマ「光る君へ」も中盤に入り、ますます平安時代の人々に関心が深まっています。貴族の栄華に影が差し、武士の力が台頭して平安時代が終焉する顛末を書いたのが『平家物語』です。
林原美術館で開催の「開館60周年記念展 「平家物語絵巻 -絵巻とアニメ∞時代を超えて動きだす物語-」」展は平家物語を描いた全36巻の絵巻を展観できる展覧会です。(6月29日~9月16日)
本展の見どころを、林原美術館の主任学芸員、植野哲也さんにうかがいました。
「「平家物語」は約900年前の公家社会から武家社会への転換期を、平家一門の栄華と没落、敵対する源氏一門の躍進を史実とともに物語った英雄叙事詩です。
この「平家物語」をもとに描かれた本絵巻は、豪華な料紙に物語の全文を色鮮やかな挿絵とともに納め、全36巻、総長940mの長大かつ完全な「平家物語絵巻」として知られています。
本展では、この絵巻を全巻展示するとともに、2022年に放送されたTVアニメ「平家物語」とのコラボ企画として、琵琶語りや迫力ある戦闘シーン動画、華麗な背景画など、現代クリエイターによって構築された物語を紹介します。
江戸時代の絵巻と現代のアニメーションという、時代を超えて紡がれた古今の視覚化されたコンテンツから、諸行無常の「もの悲しさ」をそのままに、盛者必衰の中で未来へ「生きる」ということの難しさや大切さの気づきの場となることを願っています。
あわせて物語の舞台となった平安時代後期頃に作られた太刀や物語を題材にした工芸品なども展覧し、平安武士の息吹や平家物語文化の広がりもご紹介いたします」
鎌倉初期作の「平家物語」を知らない人も、現代アニメ「平家物語」を知らない人も、ぜひ会場で人間讃歌の物語世界をご体感ください。
【開催要項】
開館60周年記念展 「平家物語絵巻 -絵巻とアニメ∞時代を超えて動きだす物語-」
会期:2024年6月29日(土)~9月16日(月・祝)
PART I「平家の栄華」 6月29日(土)~8月4日(日)
PART II「源氏の躍進」 8月10日(土)~9月16日(月・祝)
会場:林原美術館
住所:岡山県岡山市北区丸の内2-7-15
電話:086-223-1733
公式サイト:https://www.hayashibara-museumofart.jp/
開館時間:10時~17時(入館受付は16時半まで)
休館日:月曜日(祝日等休日の場合は翌日)
※8月5日(月)~9日(金)は展示入替にて休館
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝