古染付(こそめつけ)と祥瑞(しょんずい)は、17世紀前半に中国・景徳鎮の民窯で焼造され日本にもたらされたやきもので、日本からの注文によって制作されたと考えられています。

古染付は当時の日本で流行していた様々な器物を模倣した独特の形をしており、落ち着いた色合いの青料(酸化コバルトを含む青色の絵具)で描かれた軽妙洒脱な文様が特徴です。

重要文化財 古染付高砂手花生 中国・明時代(17世紀前半)北村美術館蔵

祥瑞もまた特徴的な形の器で、鮮烈な色合いで描かれた精緻な文様が特徴です。器の全面が吉祥文様で覆われていてとても華やかです。

祥瑞砂金袋形水指 中国・明時代(17世紀前半)泉屋博古館東京蔵

五島美術館で開催の「特別展 古染付と祥瑞 ―愛しの青(blue)―」は、古染付と祥瑞の優品を展観し、日本人に愛され続けている理由を探ります。(10月28日~12月7日)

本展の見どころを、五島美術館の広報にうかがいました。

「古染付や祥瑞のように17世紀前半に舶載された染付磁器は、江戸時代後期の1800年ころにリバイバルブームがあるなど時代を超えて日本人に愛されてきました。

また、2018年には中国の景徳鎮市で17世紀前半に日本に向けて輸出された景徳鎮磁器に関する展覧会・シンポジウムが開かれるなど、近年、中国でも関心が高まっています。

以下に、優品のうちで特徴ある作品をご紹介します。

古染付笠絵茶碗 中国・明時代(17世紀前半)石洞美術館蔵

厚手に作られた手びねり(ロクロを使わずに手と指だけで粘土を成形する技法)風の茶碗。染付磁器で手びねり風の茶碗は大変珍しく、桃山時代に好まれた茶碗を意識しています。描かれているのは市女笠で、日本人の好みに合わせて作られたことがわかります。

祥瑞瑠璃釉瓢形徳利 中国・明時代(17世紀前半)大和文華館蔵

型でいくつかのパーツを作り、それをつないで瓢(ひさご)形にした徳利です。全体にバイオレットブルーに発色する艶やかな瑠璃釉がかかっています。器の表面には菊と童子が立体的に表されていますが、これは文様を象った粘土を貼り付ける「貼花(ちょうか)」という技法です。

本展では、かつて「古染付」と呼ばれた15世紀の染付茶碗から遺跡より発掘された古染付・祥瑞まで、また香合、鉢、皿など多彩な器が一堂に会します(会期中一部展示替えがあります)。会場でじっくりご鑑賞ください」

古染付猿図桃形向付 中国・明時代(17世紀前半)石洞美術館蔵

学芸員によるギャラリートーク

(11月6日及び20日の14時~、当日入館者は聴講無料、当日12時より受講整理券配布、椅子席100名先着順)の開催が予定されています。より深い鑑賞をお愉しみください。

【開催要項】
特別展 古染付と祥瑞 ―愛しの青(blue)―
会期:2025年10月28日(火)~12月7日(日) ※会期中一部展示替えあり
会場:五島美術館
住所:東京都世田谷区上野毛3-9-25
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://www.gotoh-museum.or.jp/
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただし11月3日、11月24日は開館)、11月4日(火)、11月25日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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