伊周の正二位昇進の意味するところ
I:中宮彰子に皇子誕生を見たこの段階で、一条天皇は伯父の伊周(演・三浦翔平)を正二位に叙します。道長と同位です。これは、道長に対する牽制というよりも、次代の東宮(皇太子)は、皇后定子(演・高畑充希)所生の敦康親王(演・渡邉櫂)を想定していて、伊周に対してそれにふさわしい待遇を与えるということでしょうか。
A:確かにそんな感じもしますが、ややこしいのは、一条天皇の東宮は、居貞(いやさだ)親王(演・木村達成)であるということ。つまり敦康親王を東宮にするためには、自身が居貞親王に譲位する必要があるということです。しかも敦康親王を東宮にするには道長という障壁もあるわけです。
I:道長は当然、自らの初孫である敦成親王を東宮に据えたいと思っているわけですよね。
A:そうした中で、伊周の係累(母の妹、妻の兄)が、敦康親王に東宮になってもらう工作をするように伊周に強く進言します。東宮になり、やがて即位ということになれば、その外戚は栄華を極められるわけですから、力が入らないわけはありません。伊周は伊周で道長に対する呪詛を行なっていましたが、そういう背景があったというわけです。歴史の結果をみれば道長の圧勝だったわけですが、最後の最後まで情勢は緊迫していたということでしょう。
【久しぶりの為時。次ページに続きます】