女院さまの40歳のお祝いの席で

童舞を舞った田鶴君(左/演・三浦綺羅)と巌君(右/演・渡邉斗翔)。(C)NHK

I:さて、道長が東三条院詮子(演・吉田羊)から新たな策を授けられました。皇后定子が生んだ一条天皇(演・塩野瑛久)の皇子敦康親王(演・高橋誠)を中宮彰子(演・見上愛)のもとで育てるという策ですね。人質というかなんというか……。

A:道長と伊周(演・三浦翔平)の権力闘争の最終場面ですね。今後どういう展開になるのか注目ですよね。東三条院詮子の「四十の賀」が盛大に行なわれたことは、『栄花物語』や『大鏡』に描かれています。主催は左大臣の道長ということですから、本当に道長は姉の詮子の恩を大事に思っていたのでしょう。

I:劇中では、道長正妻の倫子(演・黒木華)所生の田鶴君(後の頼通/演・三浦綺羅)と二妻明子(演・瀧内公美)所生の巌君(後の頼宗/演・渡邉斗翔)が童舞で競演することになりました。

A:『栄花物語』などによると田鶴君が舞ったのは「陵王(蘭陵王)」、巌君が舞ったのは「納曽利」。かつては左方舞の「蘭陵王」と右方舞の「納曽利」は、俗に「勝負舞」ともいわれる対の舞として舞われたようです。この童舞の場面は『栄花物語』『大鏡』にも描かれています。劇中のように巌君の舞の師匠に従五位の位が授けられたというのは『大鏡』に載っています。

I:童舞は面をつけないということで、綺麗に化粧したふたりの童の舞に見惚れてしまいましたが、「陵王」「納曽利」ともに、芸能考証の友吉鶴心先生が楽曲、舞をドラマ用にアレンジしたそうですよ。

A:『大鏡』や『栄花物語』の記述と劇中の演出を比べてみると「なるほど」「へー、そうなんだ」と感じることが多くてとても楽しいですね。特に『栄花物語』の巻七「とりべ野」と巻八「はつはな」を通読すると、わくわくしますね。まさか、『栄花物語』を読んで物語がストンと理解できるようになるとは……。これも絶大なる『光る君へ』効果ですね。

A:巌君の舞の師匠に従五位下の位が授けられたということで、劇中では、田鶴君は悔しくて号泣するわけですが、道長は人目も憚らず一喝します。一見、息子に厳しい道長という場面ですが、実は道長は子思いなんですよね。『栄花物語』を読み進めると、13歳の田鶴君=頼通が春日社の春日祭使として参拝する際の子を思うエピソードが出て来たりします。

I:一見、厳しい父の側面を見せたということなのでしょうが、私は子を思う親の姿を見てちょっとジーンときました。さて、前週に明子宅で倒れた道長を正妻倫子が見舞うというスリリングな場面が登場しましたが、今週もまた妻同士が子を巡ってバチバチ暗黙のうちにやっているのが面白かったですね。このふたりのさや当て、今後も出てきたら楽しいですね。

誇らしげな明子(演・瀧内公美)。(C)NHK

伊周との最終決戦が始まる。次ページに続きます

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