1839年、フランスのルイ・ダゲールによって発表された銀板写真は、19世紀の文化・文明に多大な影響を与えましたが、早くもその4年後、オランダ船によって、写真器材が長崎に持ち込まれました。

坂本龍馬の肖像写真はあまりにも有名ですが、時代の要請に合わせて写真に色を付けたものがたちまち人気を博しました。日下部金兵衛やシュテルフリートなどの写真館では、絵付師たちが名所や風俗を紹介する写真に腕を振るいました。

2001「FUJIYAMA FROM OMIYA VILLAGE」
日下部金兵衛 明治時代中期 東京都写真美術館蔵(通期展示)
「〔太夫〕」明治時代 ピエール・セルネ氏蔵(通期展示)

神戸市立博物館の「Colorful  JAPAN―幕末・明治手彩色写真への旅」は、幕末・明治のJAPANに誘う写真展です。(3月30日~5月19日)

本展の見どころを、神戸市立博物館の学芸員、水嶋彩乃さんにうかがいました。

「日本の開国後、幕末から明治時代にかけて、これまで交流のなかった諸外国の人々が、来日するようになりました。未知の日本文化を目にした彼らの需要に応え、日本の名所や風俗を撮影した写真が販売されます。それらの写真はしばしば、1点1点精緻に彩色され、カラー写真と見紛うような「手彩色写真(てさいしきしゃしん)」に仕上げられて、海外へ輸出されたり、お土産として持ち出されたりしていました。

116「WRITING LETTER」
日下部金兵衛 明治時代中期 ピエール・セルネ氏蔵(通期展示)

約150点の出品作品から、「GENERAL」(日本語で「将軍」)というタイトルの写真をご紹介します。緑色地に金色の龍柄の袴をはき、兵を指揮する際に振る房状の道具「采配」を持った侍には、信じ難いほどに入念な彩色が施されています。

彼の衣装は現実の日本の侍よりずっと華美なもので、現実の日本そのものではなく、作り上げられた東洋の神秘「JAPAN」のイメージであると言えます。

32「GENERAL」
日下部金兵衛 明治時代中期 ピエール・セルネ氏蔵(通期展示)

本展では、手彩色写真のもつ唯一無二の美を通して、時代を超えて人々を魅了する「JAPAN」の姿をご紹介します」

鮮やかに蘇った幕末・明治の日本!! 会場でじっくりご堪能ください。

【開催要項】
特別展「Colorful JAPAN―幕末・明治手彩色写真への旅」
会期:前期3月30日(土)~4月28日(日)、後期4月29日(月)~5月19日(日)(45日間) ※会期中、一部作品の展示替えを行います。
会場:神戸市立博物館
住所:兵庫県神戸市中央区京町24番地
電話:078・391・0035
公式サイト:https://www.kobecitymuseum.jp/exhibition/detail?exhibition=378
開館時間:9時30分~17時30分、金・土曜日は~19時30分(展示室への入場は各閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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