戦国時代、奥羽に覇を唱え、のちに「独眼竜」と称された伊達政宗(1567~1636)。その野望は天下人・豊臣秀吉によって阻まれますが、卓越した才覚と統率力によって激動の時代を生き抜き、仙台藩62万石の基礎を築きました。

この秋福岡で、伊達政宗の業績を辿る展覧会が開かれています。(11月27日まで)

伊達政宗像
仙台市博物館蔵蔵
通期展示
重要文化財 山形文様陣羽織
仙台市博物館蔵
後期展示

本展では、正宗の人柄を伝える直筆の手紙や肖像画、斬新なデザインで都びとを魅了した伊達軍団の武具・甲冑、また正宗の多才ぶりをうかがわせる書画、さらには家臣・支倉常長がヨーロッパから持ち帰った国宝「慶長遣欧使節関係資料」など約100点を公開します。

国宝 支倉常長像
仙台市博物館蔵
前期展示

本展の見どころを、主催の福岡市博物館学芸員、末吉武史さんにうかがいました。

「本展で最も注目してほしいのは、政宗が着用した黒漆五枚胴具足です。五枚胴具足は五枚の胴パーツを蝶番で繋いだ甲冑のことで、戦国末期に登場した当世具足の一形式です。

重要文化財 黒漆五枚胴具足
仙台市博物館蔵
後期展示

ただ、政宗の甲冑はやや特殊で、兜を含めると総重量が約21kg、胴の厚みは約5mmもあるなど、他の戦国武将の甲冑と比べても圧倒的に頑丈に造られています。政宗の時代には徒歩戦が主体となり、運動性に優れた軽量の甲冑が好まれました。にもかかわらず政宗がこのような重厚な甲冑を用いたのは、伊達家が鎌倉時代から続く奥州の名家で、東国武士が伝統的に馬上戦闘を重んじてきたことと関係があるようです。また、全体を黒で統一して金色の三日月の前立を付けたデザインも洗練されています。しかし、この三日月には密教の胎蔵界を象徴し、金剛界を象徴する日の丸の軍旗と揃うことで絶大なる仏の加護が得られるという、宗教的な意味も込められていました。こうした甲冑に込められた様々なこだわりに触れることで、政宗の人柄を身近に感じていただければ幸いです」

太刀 鎺国行(はばきくにゆき)
仙台市博物館蔵
通期展示

国宝「支倉常長像」や眼帯をかけていない政宗像など、貴重な展示品を会場でご鑑賞ください。

【開催要項】
特別展 独眼竜 伊達政宗
会期:2022年10月8日(土)~11月27日(日) 会期中一部展示替えあり
   前期10月8日(土)~30日(日) 後期11月1日(火)~27日(日)
会場:福岡市博物館
住所:福岡市早良区百道浜3-1-1
電話:092・845・5011
開館時間:9時30分から17時30分まで(入館は17時まで)
休館日:月曜日(ただし10月10日は開館)、10月11日(火)
公式サイト:http://museum.city.fukuoka.jp
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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