ライターI(以下I):『光る君へ』第6回では道長(演・柄本佑)の兄藤原道隆(演・井浦新)が漢詩の会を開くことになりました。ライバルであり従兄弟である藤原義懐(演・高橋光臣)が、酒席で若手貴族の藤原斉信(演・金田哲)、藤原行成(演・渡辺大知)、藤原公任(演・町田啓太)らの懐柔をはかったのに対抗してのもの。藤原為時(演・岸谷五朗)と清原元輔(演・大森博史)という当代きっての俊才も招かれ、両者ともに娘を同伴しての出席という設定になりました。
編集者A(以下A):紫式部と清少納言、「まひろ」(演・吉高由里子)と「ききょう」(演・ファーストサマーウイカ)の初対面ということになりました。実際のふたりに面識があったのかどうかについては不明なのですが、ごくごく自然な描写になりました。
I:まあ、でも「まひろ」と「ききょう」ですからね。私はなんでもありでいいかと思っています。背景の建付けがしっかりしていますから、なんの違和感もないですね。
A:清原氏というのは、天武天皇の皇子舎人(とねり)親王の裔ともいわれる名門ですが、藤原氏の勢いに押されて、この頃は学問を生業とする中級貴族の立ち位置でした。清和天皇の裔から地方に転じて武士の棟梁となっていく清和源氏のような一群もいるわけですから、貴族の去就もさまざまですね。
I:道隆は兼家(演・段田安則)の嫡男です。花山天皇の側近として登場している藤原義懐は兼家の兄伊尹の息子になります。第3回で兼家の「わしも三男じゃ」という台詞がありましたが、兼家の上には伊尹と兼通という兄がいました。すでにどちらも亡くなっているのですが、伊尹の息子義懐が花山天皇(演・本郷奏多)の側近として力を増しているので穏やかではないのですよね。
A:道隆にしても自分の従兄弟が花山天皇の側近なわけですから、対抗していこうということなのでしょう。きな臭くなってきましたね。
【藤原行成、斉信、道長の順に漢詩が披講。次ページに続きます】