「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努⼒をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると言われています。
「脳トレ漢字」第179回は、「汎用」をご紹介します。日常の会話でもしばしば耳にすることがありますが、間違えて読んでしまっているかもしれません。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「汎用」とは何とよむ?
「汎用」の読み方をご存知でしょうか? 「ぼんよう」ではなく……
正解は……
「はんよう」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「いろいろの方面に広く用いること」と説明されています。日常会話でも耳にすることが多い「汎用」。使い道が色々あるという意味として、「汎用性が高い」と表現することができます。
また、字面が似ているため、しばしば「凡庸」(ぼんよう)と混同されることがありますが、こちらは平凡であるという意味の言葉です。間違えないように、注意する必要がありそうですね。
「汎用」の漢字の由来は?
「汎」という漢字には、「広くいきわたる」という意味が含まれるそうです。そのため、「広く用いる」という意味から、「多方面に広く用いること」という意味を持つ言葉が生まれたと考えることができます。
ギリシャ神話と人工知能
多方面に広く用いることという意味を持つ「汎用」。その意味が転じて、経済全体に影響を与える可能性がある技術のことを、「汎用技術」と呼ぶようになりました。現在話題になっているAI(人工知能)も、その一例です。
AIといえば、最近登場した技術というイメージがありますが、2000年以上前に作られた「ギリシャ神話」にも、AIの前身が登場しているのです。それが、「パンドラの箱」として有名なパンドラです。
パンドラは、ギリシャ神話の主神・ゼウスが、鍛冶の神・ヘパイストスに作らせた女性型ロボットであると言われています。人間界に男性しかいなかったとされる当時、無断で人間界に火を与え、様々な知識を人間に教えた神・プロメテウスに激怒したゼウスは、災いの元となる美しい女性・パンドラを作らせて、人間界に送ったのです。
その際、パンドラは絶対に開けてはならないという箱を、ゼウスから受け取っていました。しかし、誘惑に打ち勝つことができず、パンドラは箱を開けてしまいます。その時に、箱の中から貧困や病気、嫉妬や憎しみなど、様々な災いが飛び出し、苦悩が絶えない現在の世界が出来上がったそうです。
古代においても、様々なことに利用できる、汎用性の高いAIのような存在が求められていたことが分かります。
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いかがでしたか? 今回の「汎用」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 生活を便利にするために生み出されたはずのAIですが、最近では仕事までAIに奪われてしまうと懸念されています。
自分にしかできないことは何なのか、常に考えながら生きていきたいものですね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
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